『久留里忍法帳外伝 〜わくらばっ!〜』 第二話 其の十五

『久留里忍法帳外伝 〜わくらばっ!〜』 第二話 其の十五


「越智は石田に代わって右サイドバック。ただし守備的になる必要はない。むしろガンガン上がっていい」
「はい!」
「で、ソウビ……ソウビは……」
「ここに」
「あ、そこか。ソウビは百瀬に代わって右ね。百瀬のいた位置よりもっと前目にいること」
「は」
 失点をしたばかりだというのに、駒子はさして動じていないようだった。淡々と、むしろ楽しげにも見える気色で交代の二人に指示をしている。
「監督は、こうなることがわかっていたのですか?」
 宗美は思い切って駒子に聞いてみた。宗美達が交代を指示され準備をしている時に失点。流れを変えるための交代ならばタイミングとしては良すぎるくらいだ。
「ソウビから質問なんて珍しいね」
「は」
「うーん、わかってたっていうか、まあ、うちは一点を器用に守り切って勝てるようなチームじゃないからね。どこかで失点は覚悟してた」
「覚悟……」
「それに、考えようによってはここで点を取られておくのも悪くない」
「それは、どういう……」
「そこ交代するなら早くして!」
「あ、はーい! よし行け!」
「は、はっ!」
 審判に急かされて宗美と越智がピッチに入る。足の裏の芝生の感触と共に、ピリピリとした戦場(いくさば)の空気が肌に刺さる。
「あれ? 葉倉は二人交代でしょ? 早くもう一人入って!」
「もう入ってますよ!」
 宗美の存在に気付かなかった審判に、間抜けにも大きな声でアピールしなければならなかったが。

 そこからの展開は、両者ともにハイスピードの攻め合いだった。
 市天が赤川の突破と小宮のポストプレー、そして三島のスルーパスで葉倉ゴールを脅かせば、葉倉は上原を起点として椎名が上手くディフェンスの背後を突く。互いのキーパーにファインセーブが飛び出したために得点こそならなかったが、もうどちらに転んでもおかしくはない。
 だが、試合時間が残り少なくなるにつれてボール支配率を高めていったのは、市天の方だった。
 試合経験の差か、名門の意地か、いずれにしても得点の気配が漂ってきている。
 鯨崎はハーフタイム以前と見違えた彼らの姿をベンチから驚嘆混じりに眺めていた。
(変われば変わるものだ)
 あれが今朝のやる気の無いBチームか。しっかり声も出し合っているじゃないか。ああ、あの目を見ろ、あんなに真剣にボールを追いかけている奴らを見るのはどれくらいぶりだろう。
 奴らにもわかったのだ。あの敵を倒すためには、自分たちは何かが足りないのだと。その足りない何かの為に、今Bチームなんぞに落とされているのだと。そしてその何かを、今、試合の中で見付けようとしている。
(監督の意図は、これか……)
 市立天橋高校サッカー部は名門だ。全国各地から有望な才能が続々と集まってくる。そんな才能たちが、互いにポジションを、レギュラーを争っていく。そのうち、彼らは気付く。才能にもピンキリあり、自分はおそらく、キリの方に含まれるのだということに。自分など足元にも及ばぬ天才がこの世にはおり、自分は単なる井の中の蛙に過ぎなかったということに。
だが、諦めながら生きるのは、人間には辛い。ましてや彼らは高校生。ただ単にサッカーが上手いだけの、少年でしかない。
 だから見て見ぬふりをする。自分に力が無いのではない。ただ他人が足を引っ張っているのだ、周りの人間が俺に合わせないのだ、不慮のアクシデントがあったのだ、ああ、それさえなければ自分だって……。
かくして彼らは名門の後光と自分より劣った人間がいるという虚栄を心の支えに、ただ漫然と生き残ることだけを目的にしていく。
鯨崎は、そんな選手をもう数え切れないほど目にしてきた。いや、正直に白状するなら、かつては彼自身がそうだった。だからわかる。彼らの気持ちは痛いほど。彼らのそれを弱さだと断じられるほど、鯨崎は欺瞞を駆使出来る人間ではない。
だが、それでも鯨崎が彼らを叱咤せずにいられないのは、そんな生き方を選べば、いつしか摩耗してしまう感情があることを知っているからだった。
「勝ちたい――」
 あいつに、あのチームに……。喉を掻き毟り、天を仰ぎ、涙さえ枯れ尽くして尚、決して満たされることのない飢え、渇き。
それは勝負事において最も純粋で根源的な感情。その欲望を前にすれば、才能の多寡や諦めの感情など些事だ。本当に「勝ちたい」とそれだけを希う時、プレイヤーはその力を最大限引き出すことが出来る。
 今のBチームの連中に、雑念はない。理由は簡単だ。そうでなければ勝てない。そういうチームを相手にしているのだ。
(ああ、いいチームだ。向こうの監督の話によれば創部三年目ということだが、成熟度はかなり高い)
 なるほど、技術的なことなら市天のBチームにも及ばないが、個々のプレーの判断は高校生とは思えないほど早い。作戦が最初から決まっているふうでもない――対戦相手を今日初めて見たのだから当然と言えば当然だが――にも関わらず一プレー一プレーに明確なコンセプトが存在しているように見えるのだ。即興的でありながら、見事に互いが連携を取ってみせる。勿論まだ発展途上のものなのだろう、拙いミスも多いが、それを補って余りある連動性を持っている。
(これは、末恐ろしいかもしれん……)
 鯨崎がううむと唸りかけたその時、葉倉の8番がセンターサークルの手前でボールを奪取した。そして8番は、奪ったボールを間髪入れず右サイドに大きく蹴り流す。
「あ!?」
 鯨崎は、思わず声を上げてしまった。
 ボールは後半から右サイドに入った背の低い13番の走っていく先へ……。
 問題はそれが、もう完全に、言い訳のしようもないほどに独走状態だったことだ。13番が走り始めた時、誰も彼に注意を向けている人間がいなかったことだ。
 なぜ? なぜ誰もマークしていない。あんなにわかりやすい抜け出しだっただろうが!
 オフサイドは、無い。
 ようやく13番の背を追いかけ始めたBチームの姿を、鯨崎は自身も狐につままれたように呆然と眺めていた。

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

二次元美少女東風

私が中学生のころ、『美女東風』という深夜番組がありました。

アジア各国の街角で、エキゾチックな美女を捉まえ(という演出)、
インタビューをして私生活をちょっぴり紹介するだけという
実にエエかげんな番組でしたが、この番組のおかげで
私に「民族衣装」という属性が付いてしまったことは紛れも無い事実です。

冒頭のナレーションは今でも覚えています。
「熱き風猛るアジア、その行くところに美しき姑娘(クーニャン)あり……」


それとはあまり関係があったりなかったりする
今回のネタは、萌え系雑誌【Capu!〜かぷ〜】(笠倉出版社)
雑誌といっても分類上はムック本なので
さぞ本屋さんは置き場所に困ったことでしょう。

capu.jpg

Vol.1は01年5月15日に発行されました。
『僕らが世界を変えていく!ついに発進、新世代型同人情報誌!!』
を売り文句に、主にアジア方面のまんが事情を主に紹介。
巻頭では当時日本国内で人気絶頂だったイラストレーター、
CARNELIANのインタビュー記事と、描き下ろしイラストテレカの通販応募券
ouboken.jpg
(↑私は古本で買ったので前の持ち主によって切り取られていました)。
以降は韓国のまんが雑誌『ジュニアチャンプ』の内容紹介、
台湾の少女まんが家、高永氏へインタビュー、
韓国・台湾の同人誌即売会の様子、そしてコスプレイヤーたち、
アチラの大手サークルはどのようなまんがを描いているか
セリフを和訳して紹介するなど、
いま見てもそれなりに興味深いものです。

夜猫舘珈琲屋
画像は、台湾の同人誌を紹介するページより。
当時は、萌えキャラといったら猫も杓子もネズミもマルチ(To Heart)でした。
博士?「こ……これは?」
マルチ「はじめまして!わたし……」
    「『HMX-12』マルチ♥ 」

と言っている……とこの画像の下にキャプションが付いています。
日本国内の同人と比べても全く遜色ありませんが、
マルチ充電中
原作のマルチと充電方法がちょっと違っています。


さて、海外ネタはイマイチ読者に受けなかったのか、
それとも一発ネタのようなもので2号以降はもたないと判断されたのか、
Vol.2(01年7月5日発行)以降は国産のエロゲーネタメインに転換。
キャッチコピーも
bokuraga.jpg
『僕らが世界を変えていく!デジタル美少女独り占めマガジン』へ。

巻頭はエロゲーメーカー代表者や同人誌即売会代表者へのインタビュー、
続いて海外・国内の同人サークル新刊紹介、
センターカラーでは近日発売予定のエロゲー・エロアニメを主に採り上げ、
巫女やメイドなどオタク的なキャラクターの起源について考察したり、
主に韓国発の日本人視点で見ればバカゲーや同人ゲーム、
当時流行っていた著作権的にギリギリなニュースサイト紹介にページを割いたりと、
エロゲー雑誌にしては情報が薄く、
萌えの総合誌にしては表面をなぞっただけの中途半端な紙面構成に。

雑誌としては体裁が整ったものの、
コンセプトはわかりづらくなってしまいました。

ウリのひとつであった付録のCD-ROMの内容も、
第一号は韓国の同人誌即売会の参加申込書が
収録されるというきわめて個性的な代物でしたが、
新作エロゲーの体験版やデモムービー、
修正パッチなどといった他誌でも見かけるものにシフト。

それでも毎号、海外の同人誌が一部ページを和訳したうえで収録され、
韓国のコスプレイヤーの間では超有名人だという
イ・ボムソン氏が連載コラムを持っていたり、
国内外のイラストレーターが描いたCGをドーンと載せたりと
独自性を出そうとしていた様がうかがえます。

なお、この自称雑誌は隔月刊ペースで発行されたようですが、
私の手元にあるのはVol.4まで。
検索してみると、01年12月に発売されたVol.5が
結果的には最終号となってしまったようです。


海外のクリエイターに焦点を当てるという
発刊時のコンセプトは先見の明があったと思います。

しかし、発刊から11年を経た現在においても
アジア各国は日本より性的なアレコレの規制が厳しく、
高校生活を叩き台にした学園ものが定番といわれる
日本人オタクにウケる描写のできる人材が少ない(当たり前ですが)こともあって
外国人作家は現在でも少数派に留まっています。

もともと商業誌、さらに定期刊行の雑誌という形式では
無理のある題材であったということでしょう。

テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

オビツ11、リトルプーリップ改造

ドール趣味に関わってハマって出られなく成る状態の事を「ドール沼」と言う場合が最近は多いですね。確かに底なし沼と言っても過言ではありません。

ただ、私が思うに、ドール趣味というやつは、なかなか始めづらい、というのがタガに成るので普通に暮らしている分にはドール沼にはまる事は少ないでしょう。

「ドールは始めづらい趣味」で有るのは様々な理由が有ると思います。まず、男性だと普通に人形遊びとかしづらいというのも有りますし、目立たずやるにしても、完成品ドールは割と高額だし、パーツから一から組み立てていくのは技術が必要などという事も有るでしょう。

特に私の様に昔からプラモデルばっかりやっていた人間としては、ホビー誌の後ろ方に載っている、美少女フィギアとか、ドールとかの広告を観ているうちに欲しくてたまらなく成る事が有りますが、上記の理由であきらめてしまう方も多いと思います。

ただ、プラモデルをやっているような人であれば、割とドールは安価に導入しやすいと思いますので、そのアドバイスとして今回の記事を書いていければと思います。


まず、ドールを始める場合、知っておきたいのはドールの種類です。1/3と1/6が主力で、1/3はかなり高価です。1/6と1/3は単純に身長が2倍に成るとは言っても、容積は8倍なので、材料費も8倍以上?なのか、物によっては金額も10倍くらいだったりします。

ただ、逆に1/6サイズで有れば、割と安価に手に入るので、金額面でのネックは減ります。洋服もセットの完成品でも一万円もしない物がいくつもありますし、素体からカスタムしていく形式で有れば、更に安く済みます。

しかしここで問題は「頭」の問題です。1/6素体だと主流のオビツ社製品だと1000円台後半〜3000円弱くらいで、関節フル可動の優秀な物が手に入りますが、どんなに体部分が安価に手に入っても、メイク済みのヘッドは素体よりもずっと高いのが普通です。

プラモなどの塗層が得意な人であれば、メイクのしていない植毛ヘッド(1000くらい)に自前のラッカーで顔を書けばOKですが、絵ごころの無い人には厳しいのが事実。

そんな方にお勧めなのが今回の改造です。(前置きが凄く長く成りすみません…)

DSCN3243.jpg
今回購入したのは、オビツ11とリトルプーリップという完成品ドールの素体です。リトルプーリップは様々な種類が有りますので、自分の好みの顔の子を選ぶと良いでしょう。フルセットでもそんなに高く無いですが、秋葉原のラジオ会館の宇宙船などの店では、このように素体単品で更に安価に手に入ります。

私も前からヤマネヘッドは気に成っていて、オビツ11素体にも興味が有ったので丁度どちらも安かったので手に入れました。両方で3000円強くらいなので、ネンドロイドくらいの出費と思えば痛く無いですね。

余談ですが、こういった入れ目系ヘッドを1/6サイズで一から作ろうとすると、自分で眉毛とか、まつ毛を描けない場合、PARABOXというショップでソフビ製の入れ目ヘッド(メイク済み)が2000円くらいで売っています。それに目玉(安くても500円以上)ウイッグ(安くても1000円以上)を合わせているとかなりの金額に成ったりします。

又、もっとアニメっぽい頭がいい!という方用には、レジャーニャというメーカーでオビツ素体対応のPVC製のヘッドが単品で売ってたりしますが、5000円くらいします。他にもアイデカールというシールでメイクを済ます事も可能ですが、オビツ11の場合は、余っているネンドロイドの頭を改造してくっつける人もいるようですね。


さて脱線しましたがここからが改造です。

他のサイト様でオビツ11+リトプリの改造は幾つか取りあげられていますが、私の改造方法はプラモ経験者向けの物だと思ってください。

あと、改造はパソコンでも機械でも、ドールでも自己責任で行ってください、そのあたりは値段を安く済ませられる半面覚悟が必要です。人は何かの犠牲無しでは何も得られ無いメゾットです。

なので、これから載せる方法もあくまで一例であって、参考までにして下さい。こうすれば絶対成功すると言う訳では無いので、失敗しても私は責任取れません。

ただ、この方法は、一応元々のドールパーツを切断したり削ったりする訳では無いので、調子悪そうなら元々の形に戻す事もある程度は可能です。

DSCN3245.jpg
まず、リトプリの髪の毛はウイッグ形式ですが、プラ用接着剤で接続されています。写真の様にマイナスドライバーで引きはがしていきます。

DSCN3247.jpg
髪の毛を外した状態です。表面が接着剤による変形のせいで綺麗じゃ無いので、やすりがけに自身が有る方はそうした方が良いかもですが、別に髪の毛を乗せれば隠れるので放置でも良いと思います。

後頭部の穴の奥にネジが有るのでそれを緩めると分解する事が出来ます。

DSCN3248.jpg
内部構造です。

DSCN3249.jpg
接続部には市販のポリボールなどを使うと便利だと思います。

DSCN3252.jpg
ポリボールに4mmくらいの穴をピンバイスで空けるとこんな感じでオビツ11の首のパーツにはめる事が出来ます。最初から4ミリの穴を空けてしまうとぶかぶかに成る可能性もあるので、少し小さく穴を空けておいて削って調整していくのがいいと思います。

DSCN3253.jpg
リトプリの首の基部のパーツのネジを外してデフォルトの体の代りに、ポリボールをあてがいます。だいたい6〜7ミリくらいの直径のボールなら上手く収まります。ただ、正確な大きさは精密なノギスが無いので解らないので少し大きめのポリボールを、様子を見ながら削って行くのがいいと思います。

精密なノギスが有る方は、デフォルトの体のボール部分を計測して、その大きさと同じくらいのポリボールを選べば楽だと思います。ただ、ポリは弾力があるので、そのあたりも考慮に入れて調節した方がいいですね。要はプラモの関節と同じです。

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うまくポリボールが収まれば、再び首のパーツをネジで締めます。

DSCN3254.jpg
前から見るとこんな感じです。そんなに目立たないです。

DSCN3258.jpg
頭の蓋を閉めても、リトプリのウイッグは接着しないとずりおちやすいので、もう一度接着し直すか、図のようにドール用品店などで売っている薄手のマジツクテープを頭とウイッグの裏に貼ると、ウイッグもずれず、メンテナンス性もあるので良いと思います。

DSCN3260.jpg
完成するとこんな感じです。

これで、オビツ11メイク済みドールのお迎え完了です。

リトプリは安価で可愛いですが、可動範囲が少ないので、プラモをやってきた者にとっては、オビツ素体などのフル可動素体と合わせると理想の素体に近くなると思います。オビツ素体は首の構造が似ている物が多いので、この改造方法を応用すれば、他のサイズの素体にも対応できるかもしれませんね。


しかし、この後が割と問題・・・私は裁縫が出来るので、これ以上お金が余りかかりませんが、裁縫が出来ない方は、お店で服を買うか、周りの裁縫出来る人に頼むか・・・

どちらにせよ、手間もお金もかかるのがドール沼というものですね!

テーマ : 1/6ドール
ジャンル : サブカル

現代恋愛事情

オ○メス○レンのようなタイトルを付けてしまったものの、
内容はいつもどおりです。

鈴木雅之と菊池桃子がデュエットした『渋谷で5時』という曲がある。
「今日も渋谷で、5時」のリフレインが印象的だが、
17時の待ち合わせがデフォルトというのは
社会人にしてはいくらなんでも早すぎやしないかと思ったら
プロモーションビデオでは、ふたりが自由業?であることが示されていた。
CDは94年1月発売。

ほぼ同時期の93年12月、ピチカート・ファイヴは
『東京は夜の7時』というシングルをリリースしている。
当時はオリコン最高位50位とさほどヒットはしなかったが、
シュールな子供番組『ウゴウゴルーガ』のテーマ曲として使われ
先年アイドルマスターのCDでカバーされるなど知名度は高い。
やはり19時に待ち合わせを……という内容。

しかし、『ポケベルが鳴らなくて』(93年7月発売)もそうだが、
いまの目でみると、19時に(おそらく職場の違う)カップルが
待ち合わせするというシチュエーションはあまりリアルに映らない。

私がやってきた仕事がブラックなだけなのかもしれないが。

比較的私にとって心理的な距離感が近い恋愛ソング、
ということで最初に思いついたのは、
『レモネード』(詩月カオリ)。

03年に発売されたI'veのアルバム『Short Circuit』に収録。
分類上はエロゲーソングだが、このアルバムオリジナル曲。

深夜にレモネードを手元に置き、パソコンを起動して
「あなた」からのメールが来るのを楽しみに待つ……という内容で、
コミュニケーションの主な手段はメールという形でありながら
「あなた」のこまやかな心遣いが随所で語られる。

…………深読みという名の邪推を巡らせてしまうと、
相手がバーチャル世界の住人であるという考え方もできるのだが。
上記のとおりオリジナル曲なので、シチュエーションは
歌詞の中から推測するしかないのだった。



さて、ここからは恋愛とはマッタケ関係ない話。

金曜日の仔猫
画像は『Short Circuit』収録曲では
唯一I'veスタッフが作詞していない、
『消えない想い』がOPテーマに使われたエロゲー
【金曜日の仔猫】(emu)のディスク。

個人的には大好きなゲームなのだが、
9年前に発売された時点でもあまり話題にならなかったうえ
メーカーが活動停止してから5年以上経ってしまったので
今となっては知っている奴がほとんどいない。

「遊んでみたい」という奇特な知人がいたので喜んで貸したところ
「Windows7では動かなかった」と即返却されてきた。
ギギギ……。

この曲が好きな方は、ぜひ本編をプレイしていただきたい。
1番はみぃゆ、2番で姫について歌っていることが分かる。

久々にブランド公式サイトを検索したところ、
メイン原画・シナリオライターをはじめとする
主要スタッフが全員入れ替わって復活するという。

それを復活というのかどうかはなんとも微妙なところだが、
ともかく6月発売予定の復帰第一弾タイトルは【パジャマさんこんにちは】

kontitiwa.jpg
ロゴだと「こんにち」なのだが。
いきなり奥歯の隙間に物が挟まったような再出帆である。

『久留里忍法帳外伝 〜わくらばっ!〜』 第二話 其の十四

『久留里忍法帳外伝 〜わくらばっ!〜』 第二話 其の十四


 入って、しまった。
 三島は我ながら信じられない思いでその光景を見つめていた。
 揺れるゴールネット。拳を地面に叩きつけるゴールキーパー。或いはうなだれ、或いは空を仰ぐディフェンダー。そして沸き上がる歓喜の声……。
 このシーンは全て、三島が作りだしたものだった。
(や……やってしまった……!)
我に返って、三島は真っ青になった。こんなつもりではなかった。こんなに出しゃばるのは性に合わない。目立たないよう中盤の底で仲間を活かすようなゲームメイクが出来れば、それで十分楽しかったんじゃなかったのか。
「みぃーしぃーまぁーっ!」
 我に返ると赤川がこちらに走ってくるのが見えた。
 やばい、怒られる。あれだけゴールを欲しがっていた赤川だ。手柄を横取りされたと思われたに違いない。
 赤川は三島に駆け寄ると、物凄い勢いで飛び付いてきた。
「よく決めたぞオラ―ッ!」
 何とか尻もちを付かずに耐えた三島に、赤川は満面の笑みでそう言った。
「え?」
「『え』じゃねぇだろ! ……何で泣きそうになってんだよ?」
「え、あの……僕は、そういうつもりじゃ……」
「三島! ナイッシュー!」
「あ、小宮さん……」
 気付くと小宮や、他のチームメイトも駆け寄ってきて、三島の髪をぐしゃぐしゃにかき混ぜていた。皆、やはり笑顔が浮かんでいる。
「あんなミドル持ってるなんて知らなかったぞ! お陰で俺にアシストが付いた」
「いや、あのですね」
「よし、お前ら! これで同点だぜ! 次は逆転! しっかり格の差見せつけてやろうぜ!」
 角野がよく通る声で檄を飛ばし、おう、とチームメイトが応える。
 ああ、なんだ。みんな、こんなに楽しそうに出来るんじゃないか。今まで、何かがおかしかったのだ。サッカーに立ち返ってしまえば、名門校も二軍も関係ない。俺は、ここで皆と楽しみたい。三島は、ようやくこのチームでの自分の居場所を見つけたような気がした。

 ――やられた……。
 41番のシュートがゴール右隅に突き刺さり、市天イレブンが歓喜に包まれる傍ら、篠原武史は歯噛みする想いだった。後半から出場してきた41番のマークを命じられたのは武史だったが、ものの見事にしてやられた。
 のらりくらりとしたやり辛い相手だとは思っていたが、それでも自由にプレイさせていないという感覚もあっただけに、得点まで決められた武史はショックを隠せない。
 ピッチの中央辺りでボールを持ってゲームメイクをするレジスタは、見た目の通りフィジカルが強いわけでもなく足もさほど早くない。根性も無いのか武史が詰めて行くとすぐにボールを離してしまい、そのタイミングが早過ぎるから敵の前線がミスをする。
(そう思い込んでいた。奴は最適なタイミングでの縦パスを狙っていたんだ……!)
 油断。その挙句ゴール前までの独走すら許した。判断が甘かった。ゴール前で決定的な仕事をするタイプではないと高を括っていた。
「うっし、切り替え切り替え! ホラ、篠原」
「すいません! 今の失点は俺の責任です!」
 いつまでもうなだれたままの武史を見かねて、この試合右サイドバックに入っている二年の石田が肩を叩く。だが不甲斐ない思いが消えることはなかった。
「俺、あいつを舐めてたんす! あのパスも苦し紛れに出してるもんだと……」
「いや、それを言ったら……」
「それを言ったら、赤川のクロスを上げさせた俺の責任だ!」
 篠原の後ろからそう叫んだのは寺田だった。その美しい顔は見るからに悔しそうに紅潮し、なんというか、いっそ艶やかにすら見えた。
「俺も赤川を舐めていた。エゴイスティックで自分の技を過信してる奴だと……最後の最後で詰め切れなかった俺の責任だ!」「いやそもそも俺が縦パスを出させなかったら!」
「お前ら真面目だなぁ。普通こういう時って責任の押し付け合いになるもんだが……」
 二人の口論に石田が呆れ顔で言う。
「ま、いいんじゃない? 皆の責任ってことで」
 失点したにも関わらず緊張感の無い声は土屋だ。焦る素振りすら見せずに良く言えば堂々と、悪く言えば呑気にピッチを縦断して口論に割って入った。
「いやー、やるよあの三島君。俺全然仕事させてもらってないもん」
「お前はそれでいいのか」
 石田がじとっとした目で土屋を睨む。土屋は悪びれもせず口の端に笑みを湛えながら続ける。
「三島君をマークし切れなかった篠原に非があるとすれば、それは三島君をいい感じにノせてしまった俺の責任でもある。三島君に俺が抑えられた程度で上手くいかない攻撃陣の責任でもあるし、俺をフォローし切れなかった中盤も、ラインを上げ過ぎた最終ラインも、そうそう、篠原を三島君対策に当てた監督の責任でもある」
 ね。誰も、関わってない人間なんかいないんだよ。そういうスポーツじゃないか、サッカーってのは。土屋が自信たっぷりに言うと、その軽口を責めようとも思えなくなってくる。
「それに、まだ同点だしね。反省は試合後のミーティングでじっくりやろう」
 後半まだ決定機を作れていない榊も涼しい顔だ。まるでこの後勝ち越すのが当然、なぜこの程度のことで一々悔しがっているのか、といった顔で、むしろ不思議なものを見るように武史達を眺めているのだから困る。
「ほら、監督も動いたみたいだよ」
 土屋の言うとおり、葉倉のベンチが動いていた。選手交代が告げられ、スタンバイしている選手と駒子が何か話している。
「二枚代え? 監督も思い切ったことを」
「下がるのは、百瀬と……俺かよ!」
 交代を指示された石田は表情に一瞬悔しさを見せるものの、仕方ないと呟いてベンチに戻っていく。
「お疲れー。まあ今日は石田にしてはよくやってたよ。地味に右サイドの起点潰してたし。地味だけど」
「うるせぇ! 土屋テメェ、ミーティングの時ボロクソに言ってやるからな!」
 右サイドバックの石田と交代するのは一年の越智。その越智の影に隠れるようにして立っているのは、中盤を攻守にせわしなく動き回った百瀬と交代する13番。
「ま、そろそろジョーカーを切ってもいい頃合いだよね」
 土屋がいかにも楽しげにそう呟いて、交代選手がピッチに入る。
 しかしその瞬間武史の目に写ったのは越智の姿だけで、しばらく経ってようやく発見した肝心のジョーカーは、いつピッチに立ったのか全くわからなかった。

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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◆メンバー(このブログの執筆者達)
小竹大樹…隊長的な人
朽葉…ネットランナー
善浪栄一…目が死んでる
萌兄…イラスト係兼、メイド狂
環俊次…2次元ジゴロ
加糖コージ…中学二年生
きのこ汁子…ドール愛好家
など。

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