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近未来 超スクールウォーズ インモラル・ロボッツ 第8話

暑すぎるですよ~ぎひぃいいいいい、前回のつづきですぅ~ 

ちなみにこの作品は、全ての千葉県好きと全てのヤンキー嫌いの人々に送る勢いで書いています。


近未来 超スクールウォーズ インモラル・ロボッツ

第二章 VS キメラヤンキー編
第8話 「ドキドキッ★未来予知!」


 先輩達の脳は薬物と電気的な操作によって極限まで電算能力を高められていた。
この世の事象をネットから、くまなく脳にインプットし、この後に起こるであろう出来事を有機的に予想する事が未来予知システムのからくりであった。
だから、このシステムは本来、未来予知というより単なる精巧な未来予想なのだ。
けれども「未来予想」と言ってしまえば、だいぶ前からスーパーコンピューターで似たような試みが行われているし、「未来予知」と言い張った方が、後々商品化する時に有利になるので、こういう夢のあるネーミングを付けるのだ。

2年生のサイコキネシスの研究も、実際には脳波で物体を動かしているのではなく、脳波を正確に電気信号に変えて命令をシステムに伝え、物体を三次元的に移動させているにすぎないのだが、脳の命令を吸い出す技術に至っては、精度が低いものであれば、それこそ大昔から存在するし、肝心の物体の移動も脳波エネルギーだけでは出力が足らない為、外部電源を必要としている訳で、厳密に言うと、これもサイコキネシスではなく「脳波で色んなものをラジコンとして動かせるように成った」だけのことだ。
けれども、やっぱり顧客である軍や企業に売る場合には浪漫のある名前にしなきゃいけない、こういうセンスに関しては、今年の一年生は自分も含め、まだまだ半人前だ。
 
メイ子で臨床実験中の超胎教装置も「母子間テレパシー教育装置」みたいなネーミングにしないと、たぶん、上の人は取り合ってくれないだろう。

「それで、どんな未来予知が出来たんですか?」
「ああ、いや、実験自体はこれからなんだ。今、皆で横に成っていたのは薬物と機械で脳を活性化させている最中で、安静にしていたからさ……さてと、そろそろ準備も万端だ。人数的に脳の容量の問題もあるから世の中の大きな事象を予想するのは無理だ。とりあえず十余二高の事柄なら、必要なデータも限られていて、実験には丁度いいるかもしれない」
 「じゃあ、全国ベスト8まで勝ち抜いた。この子の所属するロボット部が次の大会でどんな成績を残せるかとかどうですか?」
 「なるほど、確かに気に成るな~」
「おお、良いじゃないですか。我が校の部活動の星、ロボット部の未来。一足先に見てみたいですね」
 「部長、それでいいんじゃないですか、私もロボ部の部長と同じクラスですが、彼は体調さえ万全なら本当に、ロボ部を全国優勝にもって行けるだけの実力は有ると思います」
 「よし、皆賛成なら、実験はロボ部、冬の国体での結果の予想にしよう、ムサカ君、面白い提案有難う」
 
準備を始めた先輩達の脳は活性化のピークに来ている。そこに特殊なヘットギアを被る事で、各自の脳とコンピューターと、ネットワークを統合し、未来を見るのだ。

「さあ、実験を始めよう……」
先輩達のヘットギアのランプが点滅を始める。遂に世紀の大実験が始まるのだ。

「ううううぅぅうぅぅ~ぐぅう~」
実験が始まると途端に先輩達が急に苦しみ始めた。人間の脳には度の過ぎた計算を強制的にさせられているのだから無理もない。
「きゃあ、ぱねえっす! やべえっす! 」
先輩達の目、鼻、口、耳などから血が噴き出し、メイ子が怯え出す。こういう時には幾らなんでも発情したりはしないらしい。
 
 明日を捨てた人間だけが、明日を見る権利を持つ。

 「みっ、見える~」
 「こっ、これはっ……」
 「何という事だっ!」
 「ぎゃああああああああああ~」

 この実験に参加した部長以下、三年生の先輩方計四名は、間もなく私の呼んだ救急車で搬送され、私達もそれに付き添う事に成る。

 ※

マーちゃんは、最初こそ威勢が良かったけれど、所詮は引きこもりの虚弱体質。体格のハンデもあれば、周りの生徒よりも歳を食っているし、何より多勢に無勢である。
FPS廃人の本領発揮と、回避行動に専念したが、ゲームの中では鮮やかに、何の苦労も無くやってのけられる動きが、なんと不思議な事に、自分の体じゃ出来ないじゃないですか、日頃からの適度な運動は、やはり大切なんですね。
そんな訳で、あっという間に押し倒され、ひん剥かれ、暴動を扇動し、性欲が溜まりに溜まった妊婦の女子生徒達によって同性で有りながら、彼女は性的暴行の限りを尽くされた。
それと同時にクラス内の男子も連鎖的に襲われ大乱交もとい、大惨事と化してしまう。止めに入った女性教師も同じ末路をたどり、学校側も、もはや止める手段は無いと放置を早々に決定。
午前九時、朝のホームルームに始まった蛮行は、首謀者達全員が疲れ果て、昼寝してしまった午後三時まで延々と続いたという。

大人数で余りにも長い時間乱交していた為に、ついに色んな汁が上の階から僕らの教室の天井に染みを作り、滴り落ちて来そうになった頃、やっと教室を出ても良いと御達しが来たが色々な片付けもあり、今日は授業が再開できる状態じゃないと言う訳で、生徒はとりあえず下校を命じられたが、僕らは職員に呼び止められ、病院に寄るように促された、どうやら暴動の引き金に成ったという東京都民が僕達の関係者らしい。

「マーちゃん……」
「何て事……」
僕らが、マーちゃんと面会出来たのは、彼女が救助され、膣内洗浄などの処置を受けた後の事だった。学校の近くに肛門科と婦人科を中心とする総合病院が有った事は不幸中の幸いと言えよう。

マーちゃんの目にはロボットワールドカップで出会い、試合をしたり、共闘したりした時の様な輝きが既に無い。どんなおぞましい仕打ちを受けたのか、僕らには想像も及ばないと思ったけど、良く考えれば、ムツミなら朝飯前で想像できそうだよねっ。
マーちゃんは僕らとのロボット戦いに共感を覚え単身で転校して来たのだという、マーちゃんはお金持ちだから、転校とか引っ越しとかその辺の事はどうにでも成るのだろうけど、それにしても迂闊過ぎる。流石は世間知らずのネットアイドル様だ。

 「ああー、うー」
 マーちゃんは僕らに気付いたのか、こちらを向いた。しかし瞳に生気が戻る事はやはり無い。
 「うー、わあああぁ、はぁはあ~」
 ロリっ娘ネットアイドルマーちゃん、ボトラーのゲーム廃人マーちゃん、試合会場で大衆の面前で失禁したマーちゃん、挙句の果てに猥褻物陳列罪でパクられたマーちゃん。そんなマーちゃんが……変わり果てた姿で僕らの前に!
 「まーちゃん、解るかい。僕らだよ。一緒に4回戦を戦った亀島と、ムツミだよ」
 「うもぉあ、うーい、わぁはははぁはぁ」
 ゲーム廃人から本当の廃人にジョブチェンジなんて、きょうびのロックンローラーにだって出来ない芸当を、君はさらりとやってのけた。

 「ねえ、まーちゃん。僕らは君に大切な事を聞いてないんだ。ねえ、答えてよマーちゃん。君はWikiでは21歳ってプロフィールに書いてるのに、警察発表では23歳だったじゃないか! 鯖読んでたのかいマーちゃん……」
 「ヴぃいいい、あああぅあ~」

 マーちゃんは結局、僕らとの面会中、正気を取り戻す事は無かった。
ああ見えてマーちゃんはパソコンゲームをジャンルを問わずやるくせに、エロゲはやらないウブな女の子(23歳)だったという。そんなウブな生娘(23歳)が、知らない土地に来て初めて受けた洗礼があの惨事だったのだ。その苦痛たるや想像に絶する。
 
「同じ立場の女として、私だってあんなことされたら、ああ成ってたかもしれない……」
 ここで、新事実! 六実睦(16歳)はマーちゃんと同じウブな生娘だったというのだ。てっきり、むしゃくしゃした時に、その辺の男子中学生とか襲って、欲求を発散している系女子なんじゃないかと思ってたんだけど……

 「大丈夫、僕が居る限りムツミにそんな思いさせないよ」
 「ほほう、そこまで言うなら、亀島君の今後の働きに期待する事にしましょ」
 おっと、真正サディストのムツミさん、流石のハードル上げ。そこに惚れるぜ、憧れるぜ!

 ムツミと病院から駅に向かって歩く。この辺りは開墾された19世紀から20世紀初頭までは軍の敷地であったが、2次大戦後、軍が解散すると大規模な公園、学校、公共施設などが纏めて作られる。
その後、21世紀には鉄道も通り、再開発を経てショッピングモール、大型団地、病院などの各種施設が併設されたが、其れから数百年が過ぎた今、そのどれもが老朽化、改修を何度も繰り返しているものの、区画などはそのままなので、現在でも21世紀初頭の再開発当時の面影を残しているという。
 
「もっちいぃ」
 駅前モール2番館の前を通りかかった時、ムツミがふと呟いた。
 「もっちい?」もっちいって何? 餅ですか? 餅を元にしたファーストフードの店でも出来たのかな。川を渡ったイバラキ県では餅を原料にしたワッフルであるモッフルが郷土料理として有るらしいけど……

 ムツミはそのままモールに入って行ってしまった。僕も仕方なくそれに続く。
最近は戦争でますます物資が少なく成っている。物資も資金も少ないのは、資本主義経済が崩壊したのが21世紀後半からずっとだから、もうかれこれ数百年もそうなのだ。
だからこそ大規模再開発も出来ずに、この街も含め、全国各地に21世紀初頭の区画が残りレトロチックでちょっと素敵な街並みが残ってきた訳だが……しかし、レトロなのは良いけれど、貧乏くさいのはどうかと思う。
ここ最近はそれが本当に顕著だ。モールの改修も、もはやままならないらしく、所々壊れた所も放置されている事が多いし、補修個所もモルタルや廃材の合板、酷い所だと段ボールやガムテープ、ビニールシートや、果ては水で固めた小麦粉で継ぎはぎ、継ぎはぎ、騙し騙し修繕している始末で見ていて悲しくなる。
 
そうこうしているうちに、ムツミは何の迷いも無く入り口付近の店に入る。

 『ホストクラブ★マダガスカル』
 
 ムツミはこんな店に興味が有るのだろうか? 男といちゃいちゃしたいなら僕が居るじゃないか。それともココにその餅とやらが売られているのか?
 店内では、数人の男性が妙齢の女性に奉仕している。中には合体したりしている奴等も居るのから、ホストクラブとは名ばかりで、売春も行っているようだ。
まあ、今の世の中、この手の店がこういう事をやっているのは、ごくごく普通の事だ。
中にはエステクラブや化粧品店、下着販売店を装った業態もあるらしい。要は女性しか入らないような店ならだいたいこういうサービスがあってもおかしくは無いという事。みんな勉強に成ったかい?

 「もっちいは……餅太郎はどこ?」
 ムツミは開口一番入り口のカウンターに詰めている、女主人に質問した、女主人は気だるそうに。
 「ここはお嬢さんの来るような所じゃないよ。ほら、彼氏さんも後ろで心配そうに見てるよ」
 店の女主人。ナイス誤解だね★

 「彼氏? ああ、彼氏ならならいるわね。ただこの男じゃないわ、私の彼氏はさっき外で見た、この店のポスターに載ってる新人ホストの地獄嵐さ!」
 『地獄嵐』っうのはどうやら源氏名らしい。ということは、さっきからムツミが「もっちい」とか「餅太郎」とか言っているのは、その地獄嵐とやらの本名ですか?
……って、僕が彼氏でないのは百歩譲って仕方ないとしてもだ、ぽっと出の地獄嵐とやらがムツミの彼氏だなんて……えっ、ウブな生娘って設定は何処行ったんですか? 高感度アップの為の偽装広告ですか!
いやいや彼氏だけど肉体関係は無いという事か? なら、早い者勝ちだ。どちらが早くムツミを孕ませられるかが勝負だな!

「ああ、あの新人かぁ。そういや本名は餅太郎だったっけ……奴なら今、奥で接客中だよ。彼氏をいろんな女に寝取られたのは癪かもしれないけれど、こっちも商売だからね~店内での刃傷沙汰は勘弁してね。ほら、飴ちゃんあげるから」
 「彼の接客が終わるまで、外で待たせて貰っても良いですか?」
 「まあ、仕方ないわね~。あと20分くらいかかるけどそれでいいなら」
 「有りがとございます。」
 僕らはモールの廊下で20分間待たされることに成る。女主人は飴を僕の分までくれたから、手持ち無沙汰にそれを口の中で転がした。レモン味だった。

 ムツミはずっと黙ったままだ。
さてさて、どうやってムツミを孕ませてやろうか? 僕は作戦を練り始める。
 

 ※

 「やはり、ムツミ先輩と亀島先輩でしたか」
 「ホントだ、先輩ですぅ! S・E・X、セックスさせろですぅ~」
 気付くとメイ子と、その友人のムサカが、僕らの前に立って居る。
 「ここ、学校とは反対方向じゃないっすか、二人で逢引しようと思ってもそうはイカのキンタマっすよ。キンタマ! キンタマ! 先輩、マジ、キンタマ吸わせろです! 」
 逢引か~、いいね! そうしたいのは山々だけれど、どうやら僕はムツミと恋人同士じゃないらしいから、残念でした不正解。
ああ、でも恋人ではないけれど、愛人の可能性は消えた訳じゃないからね、むしろ愛人の方が肉体関係中心って感じだし、悪くないんじゃないかな?
いやいや、肉体関係なんて現代社会じゃ恋愛の何の尺度にも成りませんよね~、だって、僕とメイ子って、恋人同士じゃないけど肉体関係は有ったりする訳じゃないですか……ムツミとはやっぱり(肉体関係は前提ですけれども)もっとハート・トゥ・ハート、心と心で通じ合いたいとか思う訳ですよ。

 「さっき、病院の帰りにお二人を見かけたんです。お二人で仲良くされているところ悪いなとは思ったのですが、どうしても早急に先輩方お伝えしたい事が有りまして……」
伝えたい事? 一体なんだろう? 愛の告白か? それだけは止してほしい、今、僕とムツミはただでさえ微妙な立ち位置なんだ、ここでさらにめんどくさい事に成ったら、場合によっては呑気に妄想に耽っている場合じゃ無くなる……そうならない為に、すぐにでもムツミと物理接触を決行すべきか?

 「あなた達も病院だったのね、でも、ごめんなさい、今、取り込み中なの。もうすぐ待ち人も来るし」
 「ごめん、ムサカさん、僕も良く解らないんだけどムツミは忙しいみたいでさ。話ならとりあえず僕が聞くから」
 僕を取り合う修羅場を避ける為にも、とりあえずムツミとムサカを引き離す方が賢明だろう。
 「病院イってキたって! もしかして孕んだんすか、先輩?」
 メイ子、ナイス誤解!
 「もぉう、話に割り込まないでよメイ子。すみません、亀島先輩。事情は解りませんが、そういう事で有ればとりあえず先輩にだけにでも先にお伝えしておきます、おちついて聞いて下さい……」

 「ムツミ姉ぇ……何でここに……こんな所に。」
 ホストクラブ★マダガスカルの裏口から、男が現れムツミに声をかける。くそ、変な時に出てくるなよ……

さて、『男』とは言っても、まだ幼い印象の残る少年を、無理やり服装や髪型で大人っぽく見せているようで、外見としては少々滑稽でもある。ただ、こういうのに弱いマダムがこの店の常連なんですかね~ムフフ。
ムツミもこういうのが好きなのかな? ってそんな事はどうでもいい「ムツミ姉ぇ」って何なんだよ。ムツミに彼氏がいるのかと思ったら、今度は隠し弟ですか? いやいや、ムツミは真正のサディスト。年下の気に入った男子を調教して、「姉さん」と呼ばせるなんて、彼女にとっては朝飯前だよね、きっと。
じゃあ、あいつは彼氏兼、M奴隷兼、擬似弟なのかっ、くそ、僕は何処までも負けてるじゃないか、こんちくしょうめ。
 
「それはこっちが聞きたい事だわ。どういう事なの?」
 「そうだよ、僕も色々聞きたいな、むしろ尋問したい!」
 「あの~、ムツミ姉え、この男の人はどなたさん?」
 「そんなことはどうでもいいの、それよりこの状況を説明してくれない?」
 あれ、あれ、あれれ? 『そんな事』扱いされちゃったよ、僕……
 「あの~先輩? ちゃんと私の話聞いてくれてますか? とても大切な話なんですよ! あなた方、ロボット部の未来がかかってるんですよ!」
 「そうっすよ、とりあえずここは、おちついて、私とセックスすればいいと思うんよね~」
 
 ムツミには無体に扱われ、ムサカには責められて、メイ子には発情され、僕は一体全体どうすればいいのやら……モテモテな人生も辛いなぁ。ただ、どうやら、ムサカの用件はロボット部についての事らしい。

 ※

 廊下で話すのも何なので、モール内の喫茶店『カフェレスト★ザンジバル』で僕らは話し合う事にした。

 その間も僕は、もちろんムツミを孕ませる算段を諦めずに続けている。

恋愛という文化が廃れ、家制度と言うものが崩壊してから数百年経ち貞操観念も今や無いに等しいものだが、そんな僕らの世の中であっても初妊娠が、自然妊娠(男子の精子で妊娠する)は恥ずかしい。という風潮は僅かだが残る。
やはり最初は無難に自家受精でと考える女子は多く、保守的な女子ほどそれに固執する。これは古の処女信仰から来るものと考えられているが、今はそんな事はどうでもいい。
 
問題は、ムツミもその例に漏れず、自家受精を始めるまでは少しでも自然妊娠する可能性のある行為を極端に避ける傾向が見られる事だ……つまり、不用意に男子と交わらない様にしているようで、メイ子の様に求めてきたりはしない。
しかし、僕はもう決めてしまったのだ。ムツミを孕ませる。しかも、早急にだ。
 事は一刻を争う。ムツミくらいの歳の女子で有れば、栄養状態や精神状態さえ良ければ、勝手に自家受精して自分と同じ遺伝子の子供を何時胎内に宿しても、おかしくは無いのだ。

 幸い今日もムツミは機嫌が悪い。何で機嫌が悪いのか?
それは餅だか地獄嵐とやらが、ムツミの気に食わない事を色々やらかしているというのもあるが、もっと深く、根本的な理由も有る事を僕は知っている。
そうだ、生理が来ているのだ。ムツミは普通の女子より生理周期で態度が露骨に変わるし、ロッカーの生理用品の減り具合などを逐一監視する事によって、僕は遂にムツミの排卵周期を完全に把握する事に成功したといっても過言では無い。

 昨年までは若い事もあって、なかなか安定しなかったムツミの排卵日も、今年に入ってかなり安定してきた。
母体としての準備は確実に進んでいるのだ。これは早めに手を付けておかなければ、自家受精どころか、運悪く現れた間男の子供を妊娠してしまう可能性だってある。
 もう本当に時間がない。しかしムツミのガードは固い。
だから僕は秘密裏にムサカに睡眠導入剤を生成しておいてもらったのだ。こいつをムツミの飲み物かなにかに仕込んで、寝ている間に事に及べばいい。
性行為の痕跡を残さなければ……いや、目的はあくまで受精であるので服が乱れるなど、痕跡の残りやすい形ではなく、あらかじめ採取しておいた自分の精液を医療器具などで速やかに注入させていただくという方法でも構わない。
 いや、むしろ、確実性を求めるなら、寝ているムツミから採取した卵子を体外で僕の精子と人工授精させてから胎内に戻すという方法だってあり得る。ムツミの卵子と僕の精子が合体して受精卵と成り細胞分裂を始める光景を顕微鏡越し見てみたい気もする。
 
とりあえず、そういう方法で、ムツミ自身が知らないうちに妊娠させれば、彼女は普通に自分は自家受精したと思いこんで、何の気兼ねなく腹を膨らませる事が出来る。その腹を僕は撫でる。それでいいじゃないか。

 「先輩、またボーっとして、真剣に聞いて下さいっ!」
 ムサカに怒られる。しかし問題はそこでは無い。ムツミと地獄嵐とやらは僕らの席から少し離れた所に二人で座って、何やら口論めいた事をしている。
 ムツミのティーカップがこうも離れていては、あのコーヒーに睡眠導入剤を入れる事なんて出来やしない。
 「先輩!」
 くっ、五月蠅いムサカだ。しかし、彼女に睡眠薬の件などでお世話に成っている以上、そう邪険にするのも忍びない。
 「いやぁ、ごめん、ごめん、また、ちょっと寝不足でね」
 「薬を差し上げたのに、不眠症はまだ治られていないんですか?」
 ムサカには流石に「女を犯す為」と言って、睡眠薬を作ってもらう訳にはいかないので、僕が不眠症で悩んでいるという事にしている。
 「うーん、いや、大丈夫だよ。もう、大丈夫だからさ。」
 「それなら良いんですけどね、それで、とっても重要な話なのですが……」
 ムサカが言うには、どうやらムサカの部活の先輩達が未来予知マシーンを開発して、僕らのロボット部の行く末を占ったら、次の冬の国体で我が部は隣の豊四季高校に負け予選敗退に終わると出たらしい。
 当たるも八卦、当たらぬも八卦、占いならばどうという事は無いとしても、他ならない我が校の超科学研究部が部を上げて行った実験で、そんな結果が出されたというのは、信じたくはないが、かなり正確な予知と考えて対策を講じておいた方がいいのだろう。

 「うーん、とりあえず、僕だけでは色々決められないから、部長やムツミに相談しないとだけど、重要な事を教えてくれて本当に有難う。」
 「いえ、いえ、役に立てて良かったです。これで、私の部の先輩達も浮かばれます……」
 浮かばれる? 良く解らない事を言う娘だ。まあ、たぶん凄い苦労して予知してくれたのだろう。良い人たちだなぁ。
 
ムツミ達の様子をうかがうと、まだまだ話の最中と言うか、ムツミが一方的に少年を罵倒し始めている。いいなぁ、その場所代われよ!
 仕方ないので、僕らはムツミ達の話が終わるまで雑談などして待つ事にした。
メイ子が途中で退屈に成って発情の兆候を見せたので、店に迷惑をかけないようにとムサカが気を使い、三十一アイスクリーム屋のタダ券を渡して先に帰らせた。
 ムサカは色々な事を知っている。今、ムサカ達一年生が行っている冷凍刑受刑者を使ったキメラ製作実験の話は興味深いし、専門外とはいえロボットの事にも詳しく、僕と同程度の知識量を持っているようで、思わず話がはずむ。
 目つきだけは異様に悪いが、それ以外は割と美人だし、もうちょっと愛想が良ければ……いやいや、メガネをかけていない女子など、僕にとって恋愛の対象に成りませんよ……違う違う、そうじゃない、メガネなんてどうでもいいんだ、ムツミ以外の女子なんて、僕にとってはどうでもいいに違いないんだ。

 「うああああああっ、ムツミ姉ぇのばかぁああ~」
地獄嵐君が30分程なじられ続けていたと思っていたら、遂に泣きだして店を飛び出して行った。クソぉ、羨ましい。泣きたいのはこっちの方さ。
 「あらあら、ムツミ先輩凄いですね……」
 「其処が良いんじゃないかぁ~」
 「先輩、変態さんなんですね……」
 仕方なく三人で店を出る。ムツミは相当おかんむりなようで、口も聞いてくれない。帰り道はバラバラなのでモール内で僕らはそれぞれの家路につくため別れた。

 それにしても、県立豊四季高校……県内で三本の指に入る進学校(まあ、県内の高校は今や13校しか現存して居ないが)向こうが本腰を入れ、ロボットサッカーに出てきたら、確かに怖い相手だ。
部長やニョニョ村先輩、マーちゃんが健在であれば、色々対策も進むのだけれど、部長は不能(性的な意味で)、ニョニョ村先輩は失踪、マーちゃんはレイプ目(性的な意味で)……さて、どうしたものかな。
 
モールを出ると既に日は暮れている。
ただでさえ戦力は少ないというのに、これでは今以上にムツミに責任や負担がかかってしまう、ここが踏ん張り時なのだ。僕にとっても、僕とムツミの関係性(性的な意味で)にとっても。


続く・・・
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近未来 超スクールウォーズ インモラル・ロボッツ 第7話

今回から第二章を掲載しちゃいますよ。割と「章」ごとに雰囲気が変わるので覚悟して下さい……第二章はだいたい世界観説明と、千葉県の現状とかの話もちょいちょい入ります。あと、ロボッツというよりスクールウォーズの部分が中心です。



一応……前回(第一章)までのあらすじ
夏のロボットインターハイ、通称ロボットワールドカップに出場した十余二高校ロボット部は、ロボの破損、部員の負傷、助っ人の尿漏れに悩ませれらながらも、初出場の弱小校ながら、見事ベスト8にまで勝ち残ると言う快挙を足遂げた。

主な登場人物

●亀島 竿紀(カメシマ サオノリ)……2年生、副部長にお熱なお年頃の男子。大人しそうな感じだけど割と変態だよ。

●六実 睦(ムツミ ムツミ)……2年生でロボ部、副部長。クールなショートカットのメガネっ娘。サディストで生物の調教が得意。

●乳頭 メイ子(チガシラ メイコ)……1年生で妊婦で淫乱。かなり淫乱、ものすごく淫乱。とてつもなく淫乱。爆発物の製造に詳しく十余二高校の爆弾娘という異名を持つ。

●肉人形1号(ニクニンギョウイチゴウ)……ムツミの下僕。メイ子と同じ遺伝子の生き物ではあるが、妊娠はしていない。その為、今の所、あんまり淫乱では無い。軍事教育を受けていた為、戦闘能力が高い。

●汁沢 ジョン次衣(シルサワ ジョンジィ)……三年生でロボ部、部長。十余二高ロボ部を一代で全国レベルにまで押し上げた有能な人物だったが、いつの間にかタダのM男に成り下がり、果てはインポテンツで入院中。

●八千院 万子(ハッセンイン マンコ)……ロリっ娘ネットアイドル通称マーちゃんであり、ネトゲ廃人、しかもボトラーで残念な、名家のお嬢様。局部を露出したまま出歩き、逮捕、収監される。




近未来 超スクールウォーズ インモラル・ロボッツ
第二章 VS キメラヤンキー編
第7話 「新たなる旅立ち~帰れないニョニョ村先輩~」


2週間の夏季休暇は準々決勝に進んだり、忘れ物を取りに行ったりなどで、結局、前半はまるまるロボットワールドカップで潰れてしまった。
 昔の学校は空調が無かったらしく、40以上も有ったという夏季休暇。現在ではエアコンの無い学校など存在しない為、それは旅行や里帰り、部活動の全国大会などの為の、2週間くらいが名残としてあるのみだ。
 各季節に長期休暇が無くなったのに代わり、どんな学校でも授業は午前中には終えて、午後の放課後はカルチャーやスポーツ、部活動や補修授業に当てるのが現代の学校では一般的なのだ。
これによって生徒は自分の伸ばしたい長所を伸ばす事も出来るし、学校側としても教師達が事務仕事をこなす時間を取る事が出来るなど一石二鳥の時間割体制になっている。

 校門をくぐると『ロボット部、ベスト8入りおめでとう!』という横断幕。そうだ、僕らは何だかんだでベスト8にまで勝ち進んだのだ。これって結構すごい事なんだよ。
 
「ぺっ、ペニスをお恵み下せぇ~でぅ~」突然メイ子が飛び出して来て、僕の体を使おうとしてくる。朝から、相変わらずお盛んな奴だ。
 「メイ子、校門の前でセックスは良くないわよ……すみません、亀島先輩。この子ったら、どんどん淫乱に成ってご迷惑ばかり……」
 そうメイ子を嗜めたのはメイ子のクラスメイトであり親友でもある穴掘 武佐香(アナホリ ムサカ)であった。

 「しらねーですぅ。セックスで世界に愛と快楽をもたらすのですよ! それ以外に人間に未来なし! セックスによる繁栄と社会の再構築によってのみ人類は生き残れるのですぅ!」
 メイ子は近頃、急進的な政治組織である『日本ペニス統合党』の思想にハマってしまっているらしい。さっきも駅前でその政治団体の女性達が演説をしていたっけ。

それにしても今朝のメイ子は何時も以上に暴走気味だ。もう臨月を迎えているのに、最近ペニスを使用できないでいたので、ペニス欠乏症を患ってしまったのかもしれない。
「だから、駄目だって……」
ムサカのお世辞にも目つきがいいとは言えない鋭い瞳からの眼光がメイ子を射抜く。
目付き以外は容姿端麗、文武両道の1年生の学年主席であると言うのに、ちょっと残念。でも……あの冷酷な目で睨まれる事が、そういう趣味の人にはたまらなく快感だと聞くし、というか僕も睨まれたい、睨んでほしい!

さてさて、(心の中でムツミ以外の女になびいてしまった事を詫びながら)冗談はさておき、メイ子にはそういう趣味が無いらしく、少しビビったようで、ショボンとしてしまう。
「ほら、六実先輩も来たよ! ダダこねてばかり居ると、また怒られるよ」
「おはよう、皆の集」
僕のヒロイン兼、ロボット部副部長のムツミさんの登場だ。一週間ぶりのムツミも相変わらず美しいって言うほどじゃないが、抱きたくなる。本来ならここで華麗にフレンチキスをかましたいが、残念ながらムツミとは其処までの関係ではないし、もしそうだとしても、そんな光景をメイ子に見せつけたら、さらに発情を催して何をするか解らないよ、この娘。
「おはようムツミ」
「おはようですぅ……ハアハア」
「おはようございます先輩」
「久しぶりね、穴掘りさん。休みの間、先生の具合はどうだった?」
「夏風邪でずっとダウンでしたよ。おじさんヒョロイから、夜中にコンビニとかに出かけると、決まって妊婦達に襲われて……そのまま路上に放置とか日常茶飯事ですからね、本当に困ったものです。今回のインターハイも顧問として付いていかせられなくて済みませんでした。」

ムサカの叔父である穴掘 武斎(アナホリ ムサイ)は、この十余二高の物理教師で我がロボット部の顧問でもあるのだが……頻繁に(逆レイプされ)そのたびに体調を崩すため、大切な時に部の用事に来てくれない困った32歳独身男性であるが、逆レイプされる頻度が非常に高い為か未婚で有りながら子供は既に数人いるとも噂されている。
まあ、ロボットワールドカップ自体は開催場所が東京なので引率が無くても支障は無かったが……
「姪のあなたが謝るような事じゃないわ。何だか責めてるみたいになって、ごめんなさいね」
「いえ、気にしないでください」

キーンコーンカーンコーン

予鈴が鳴った。
「それでは先輩方、失礼します。」
「とりあえず、放課後はセックスするっす!」
メイ子とムサカが一年生の下駄箱に向かう。
「亀島君、そろそろ私達も教室に急がないと……」
「ああ。」
僕とムツミは同じクラスだ。一年生の頃は別だったけど、今年度は同じだ。ラッキーだ。
「そうだ、ニョニョ村先輩が行方不明に成ったみたい」
「えっ?」
驚いて上履きを落してしまう。ああ、そういえば、ムツミの上履きなら時々匂いを嗅いだりしているよ。

ニョニョ村 ゲル男(ニョニョムラ ゲルヲ)3年生。
汁沢部長と共に、この部を強豪校にまでのし上げた立役者でもある。しかし彼もメイ子の発情の渦に飲まれ、部長と共に腰を壊して療養中のはずだったが……

「私たちが結構勝ち残って、部長も何だかんだで駆けつけてくれたじゃない、本人はトイレで仮死状態に成っただけだったけど……でも、まあ、持ってきてくれたモノは役に立ったわけし。で、それを聞いたニョニョ村先輩が、自分だけ何も出来なかったあぁあああって、ショックを受けたらしくて『修行の旅に出ます』っていう書置きを残してどこかに行っちゃったらいんだ」

修行? このご時世に修業とは珍しい。
今の世の中、強く成るためで有れば、薬物で人為的に精神や肉体を強化したり、武力も体の一部を改造したり、パワードスーツに乗る事で身に付ける事が一般的だ。
21世紀までは、精神と肉体を鍛える事で人間は進化できるという風潮が、右派であれば軍隊式教育に現れていたし、左派で有ればジョギングや自己啓発文化などの随所に見られた(※この時代では既に思想的な意味での右左もほぼ忘れ去られて存在しないに等しい)。
しかし、社会主義の挫折の半世紀後に当然のごとく訪れた資本主義社会の凋落、世界の混乱、各地で頻発する闘争、人口の大規模な低下を経て「人間はあんまり大したことないんじゃね?」感が世界を包み、誰も人類に期待しなくなった。
人間はそもそも単なる動物の一種であって、数多ある人間に付帯する要素の全ては、生物の目的である繁殖へのやはり単なる手段にすぎず。言わば『人類は自走式のヴァギナとペニスである』と言うのが、現代人のホモサピエンスに対する認識であり評価である。
それに加えて、現在では女子が単性生殖を行うように成り、男子は種の存在価値さえ否定されつつある。今では男性は女子を満足させるための大人用玩具の一種として社会に存在を辛うじで認められているに過ぎないという見識の学者さえいるレベルだ。

「部長はその事を知っているの?」
「ええ、それでこんな事もあろうかと、部長がニョニョ村先輩の脳内に仕込んでおいたGPS発信装置で居場所を探ってみんだけど、何処にいたと思う?」
「何処って……うーん、そんなの想像もつかないよ」
「ああ、もうこんな時間だ。続きはまた後で」



私の名前は穴掘武佐香、年齢は16歳で県立十余二高校1年生。現在病弱な叔父と二人暮らし。

「今日は君達に新しいお友達を紹介します」
騒がしい教室に担任教師の声が響きわたる。
「新しい友達って~ぱねえ!」
「友達ってペニスあるんすか? むしろペニスは友達ですか?」
「いや、ペニスが友達と言うより、友達がペニスと言った方がしっくりくるかも……」
「どっちにしろ、ペニスの付いていないような奴はもういらねーよ!」
「ペニス……ペニス……ペニスペニスペニスペニスペニスペニスペニスペニスペニスペニスペニスペニス」
「ペニス! ペニス! ペニス!」

クラスの大多数を占める女共はどいつもこいつも口を開けば、ペニス、ペニス、ペニス、ペニスのシュプレイヒコール……どんだけペニスが好きなんだろうか? 気持ち良くなるだけで有れば、何もセックスなんて、あんな重労働をせずとも、器具を使ったり、薬でも飲めばいいというのに、愚かな連中め。

「東京から転校してきたマーちゃんでーす❤ みんな仲良くしてね~」
「んだよ、女かよ、クソつまんねーな~帰れよなぁ」
「ペニスの無いなら、居無いのと一緒だよ、無視、無視」
「かえれ~、かえれ~、かえれ~!」
「はぁ? 本当に房総のド田舎民は、礼儀ってもんがねーんだなぁ、おめーら、FPSに出てくるクソゾンビレベルだなぁ~おい」
「何だとぉ! 表に出やがれ、この東京土民がぁ! お前らなんて全員足立にヌッ殺されれば良いんだぁよぉ!」
「はっ、ヤルつもりか! 千葉原人がっ!」
「ぱねえっす! ぱねえっす! ちょっと、トイレ行ってくるッす!」
教室内の妊婦達が怒り狂い暴れ始めると、メイ子が発情の兆候を見せトイレ走って行ってしまう。
「また、めんどくさい事に成っちゃった……」
ああ、もうこんなクラス嫌だ。一応ウチだって進学校だっていうのに、クラス内の単性生殖中の女子の比率が高まると、どんな大人しい学校でもこうなってしまうらしいが、それにしてもこれはひどい、ひど過ぎる。

「くそが、こうなったら戦争だぜ! って、戦争なんてやってたら、ゲームでレベル上げらんねーじゃんかよ。こちとらここ何日も収監されてて、ろくにゲームやってねーっつーのによ~ゲームやりてぇええええ。」
転校生も転校生だ。一体何なんだ? ゲーム、ゲーム五月蠅いし、高校生とは思えないくらいに幼い外見だし、収監されてたって言ってたし……何より不審なのが東京から転校してきたって言う台詞。一体何者なのか?

千葉と東京は戦争状態ではないが、東京を拠点とし、現時点で東京都議会、形骸化しているものの日本国会を支配している企業体連合(本部東京都、中央区、兜町)、と、その直轄部隊である軍事組織が奴隷として千葉県民を定期的に拉致ったり、千葉を植民地化しようと武力介入しようとするので非常に評判が悪いのだ。
殆どの東京都に住む人々が、それに加担している訳ではないが、千葉県民にそんなことは関係ない。むしろ、そういう社会的な知識を持っている、持とうとする人間はこの千葉には殆ど居ない。
だから、県内で東京都民とバレたら、普通に袋叩きにされてもおかしくないのが今の千葉の現状と言える。
もっとも、企業体連合が支配しようとしているのは千葉に限らず東京周辺の地域全体だが、嘗て彼等にとって主力の属領としていた埼玉県は、北部三郡を群馬自治区が武力制圧し、そこを群馬の傀儡政権である『内群馬自治区(首都:熊谷)』として強制的に独立させてしまった影響で埼玉県内への影響力はダダ下がりしてしまったし、加えて神奈川は易々と支配されるほど弱くなく、山梨は遠過ぎるし山越えが必要、都内でも足立=北足立連合が幅を利かせ始めているといった具合に、企業体連合の力は次第に弱まりつつあるが、今現在、仮にもこの国の首都である東京を牛耳り続けているのが彼らであるのもまた事実だ。

「野郎ども、あの腐れ土民を殺っちまえ!」
わあああああああああああああああああああああああぁ~

一人の妊婦が啖呵を切ると、遂に教室内が戦場と化した。それにしても「野郎」という代名詞は元来、男子に使う言葉なのだけれど。
まあ、どちらにせよこんな茶番に付きあってはいられない。今日の授業はエスケープして部室で研究の続きでもしよう。

私の所属している『超科学研究部』は、我が十余二高校でも特別に県から予算をもらっているエリート部活動だ。
我々は科学の力によって「超科学的」な物、例えば超能力や、UMAを再現する事を目的に日々研究し、様々な成果を上げている。
先日も超能力として有名な「サイコキネシス」を科学の力を使い擬似的に再現し、その一部の技術を兵器として転用する事で、劣勢に転じていた、江戸川河川敷戦線を膠着状態にまで押し返す快挙を達成したのだ。

「ああ~ムサカちゃん。どっかいくッすか? もしくはもうイッちゃってるですか~私は今、イッてきた所っすよ」
トイレから出てきたメイ子と廊下で鉢合わせに成る。

彼女も入学当初は学習意識も高く、爆弾やロボットに関する知識や技術も相当なものだったので、同じくストイックに勉学に勤しむ仲間としてウマが合ったし、超科学研究部に引き抜きたくなるほどの逸材だったけれど、自家生殖を始めてからは人が変わったように淫乱女に成り果ててしまった。まあ、それでも他のクラスメイトに比べれば全然マシな部類ではあるのだが……
「教室は危ないから近付かない方がいいわ、私はこれから部室に行くけど……」
「じゃあ、私もそっちに行くっす」
「うーん、しょうがないなぁ」
確かに部室に一人きりで居るのも暇なので一緒に行くのも悪くない。

超科学研究部の部室は校舎の三階から突き出したような形の渡り廊下を通り、千葉県立大学(農学部キャンパス)の敷地を跨いだ向こうに建っている旧千葉県警科学捜査研究所内にある。
この国の地方分権が進み……というか、中央政府の力が瓦解した頃、形ばかりの選挙と言う形式で選ばれ、実質、中央の政権から派遣されていた千葉の知事制が千葉県警のクーデターで倒された。
このように、知事制を廃した県は他にも多くある(関東以北はほぼそんな感じだ)し、有名な旧群馬県、現群馬自治区(通称グンマー帝国)や旧鹿児島県、現第二薩摩藩は県という枠さえも壊すなど、この国も海外諸国同様、国と言う枠は一応残しているものの、内実は古代、中世の封建制に近い状態に成っている。

そのような経緯で警察権力が一度は覇権を取った千葉だったが、元々県民に蛇蝎のごとく嫌われていた県警の樹立した政権が長く続く道理は無く、各地の住民蜂起でわずか三日で倒され構成員が皆殺しにされると、全県中が戦国時代と化した。
それでも中央に近い南葛飾と、それに並び人口の多い東葛飾、交通の要所である成田は同盟を組み、新しい千葉県として再スタートをする事が出来たが……南部や九十九里隣接地域は地元の豪族や武装組織に支配され(実際に県警によるクーデターの前というか、大昔の明治や江戸、そのもっと前から、地図上では千葉県と描かれていても、実質は一度も千葉が統一された事は無いというのが、最近の研究で解っている)今でも戦国時代のまま放置され数百年が過ぎてしまったのである。
話を戻そう。そういう経緯で県警が倒されたため、県警管轄の科捜研の建物も新生千葉県政府に接収され、政府直轄軍の持ち物と成った。
初期は軍関係者専用の施設であったが、次第に民間人の出入りも許され、研究などが出来るようになると、我が十余二高校でも、科学の授業などの実験時に行き来が許されるようになり、今日、実績のある超科学研究部に至っては内部に部室を拝領できるまでになったのだ。

 「あーら、今日は早いのね~」
 「ええ、まあ、新学期なので色々有りまして~」
 「そうなのぉ~うふふ、そういえば夏休みどうだった? おばさんなんて、夏休み無いから羨ましいわ~若いんだから、遊びもちゃんとやらなきゃ駄目よ~」
 渡り廊下で掃除のおばちゃんに話しかけられる。メイ子は部外者だが、同じ制服を着ているので特に咎められることは無かった。

「そうだ、メイ子。ちゃんとアレ巻いてる?」
「アレってコレっすか? ちゃんと巻いてるっすよ。」
メイ子はシャツの裾を捲くって骨盤矯正ベルトの様なものを私に見せた。それはメイ子の大きく成った腹部を包み込むような構造で、何本かの配線が表面に走っている。
超胎教装置……私が高校に入って2年の先輩に助けられながら初めて開発したマシンだ。母体の脳波を読み取り解析、それを胎児の脳に脳波状の微弱な電気エネルギーとして流し込む事で、母親の脳内に蓄えられた知識を胎児に落し込むという、新型の胎教システムである。
理論や性能には自信はあるマシンだが、どうしても実用化に際して人体実験が必要な為、倫理上の問題から、お蔵入りに成りかけた所を友人のメイ子が丁度自家受精を始めていたので、頼み込んで実験につきあって貰っているのだ。

「これ、暑いんすよね~、夏場はただでさえ暑いのにさらに蒸れるですし、半端無い不快感っすよ。マンコとかおっぱいの谷間とか、が蒸れて痒くなる時あるじゃないすかそういう感じっす」
「ごめんなさいね、協力感謝するわ。お詫びと言っては何だけど、あとで帰りがけに駅前で三十一アイスクリームでも奢るわ」
「アイスクリームより、ペニスクリーム! ペニスの斡旋をして下さいですぅ。ここのところ全然セックス出来なくて、イライラするんすよね~」

 胎教装置の実験を承諾してくれた頃はまだまだメイ子も実験に対して色々科学的な意見も出してくれていたが、最近はだいぶ普通の妊婦らしい事しか言わなくなった。
彼女の変わり様は、個人的に何となく寂しい気もするが、一般的な意見を言ってくれること自体は、研究者としての盲点を付いてくれる事も多く、逆に役立たったりもする……

 メイ子から装置への感想やら嫌味やらを聞いているうちに部室に着いた。
我々の部室は広い建物の中の、高校から一番近い一角にある。明りは付いていないので、今日は私が一番乗りだ。まあ、まだ放課後ではない訳だから当たり前と言えば当たり前だが。

「失礼します。」と言っても、誰もいないはず……と思ったが、先3年生の輩達が部室内に居た、というか、全員床に倒れている、一体どうした事か?
 「どうしたんですか!」
 「あっ、穴掘君……つっ遂に完成したんだよ……」
 「もしかして、未来予知システムですか!」
 「ああ、夏季休暇のうちに遂に完成できた……三年生のプロジェクトチームの皆で試してみたのだが、これはすごい……」
 
超科学研究部では、個人単位の研究の他に、大きなテーマは学年ごとにプロジェクトチームを作って研究するのが習わしだ。こうする事で単体の研究者、技術者としても、チームで仕事をする一員としても高いスキルを身に付けられるという訳だ。

現在三年生は「未来予知システム」、二年生は、先日実を結んだ「人工サイコキネシス」、そして、私達1年生の、この旧科捜研の隣にある冷凍刑務所に眠っている、受刑者を使った研究も、大詰めに差し掛かっている所なのだ。その矢先に三年生の先輩達も未来予知マシンの実験に成功した。
これは我が部のさらなる発展の予兆と言えよう。



 「えっ、そんな場所にニョニョ村先輩が……」
 「そのGPS発信機には、埋め込まれた本人の生命活動を監視するセンサーは付いていないそうだから、もう、死んじゃってるかもしれないけどね……」
 ドタドタ、ガヤガヤ
 先ほど朝のホームルームの開始を伝えるチャイムが鳴った直後、上の階から只事とは思えない物音と揺れがこの2年の教室にも伝わってきた。
何か事故でも起こったのではと先生は様子を見てくると出て行ったが、それっきり帰ってこない。その後仕方ないのでクラス委員が職員室に報告に行ったのだが……

 「本当に五月蠅いわね、上の階って……」
 「メイ子達のクラスだね……」
 嫌な予感しかしない。

「大変よ! 一年生の教室で暴動が起こったみたい、転校生が襲われたんだって!」
 メガネでおさげのクラス委員が職員室から帰って来るなり、開口一番、口にしたのはびっくりするような内容だった。
 「転校生って?」クラスの連中が尋ねる。

 「今日、東京から、転校生が来て、直ぐに喧嘩になったみたい。」
 「東京者じゃ、仕方ねーなぁ」
 「そーだ、そーだ。」
 「私達もいっちょ参戦するだよ!」
 確かに、東京都民が千葉に転校なんて自殺行為だし、普通には考えられない。何かの間違いか、よほどの事情があって来たとしか思えないが……
 「ちょっとぉ~、みんな落ち着いてよ。先生達も今職員会議を開いてる所だし、生徒は一時教室を出ないで待機だって!」
 委員長は、必死に皆をなだめようとしている。

 「気に入らないわ、いい子ぶっちゃって、亀島君もああいうのが好みなの?」
 おおっ、何だ、何だ、何なんだい? ムツミに嫉妬なんかされてしまったよ。
そんなに委員長を変な目でじっと見ていただろうか? ええ、まあ、確かに見ていましたよ。見ていましたとも、ですけどね、僕が見ていたのは委員長のメガネなんですね~。ムツミさんの事も僕は何時も変な目で見ていると思うんですけどね、やっぱりメガネを見ているわけですよ。
僕は本当にメガネをかけた女の子が好きでして、まったくもって困ったものです。とりあえず、コンタクトレンズを世界から撲滅する事が僕の使命だって最近は思うくらいですよ。
しかし、おっぱいも捨てがたいよね。むしろ、メガネに関しては、ただ其処に有るだけじゃ単なるメガネに過ぎないけど、おっぱいは、其処にあるだけで蜂蜜を塗りたっくた時限爆弾みたいに魅力的なものだからね。
メイ子に負けるのは、彼女が妊婦だからしょうがないけど、ムツミも割と有る方だしというか、結構でかいよね……いや、本当に有るのか、この女?
何かとてつもなく、どす黒い、吐き気のする様な方法で、女子は無い物を有るように見せる事が出来るらしいってどこかで聞いたぜっ、危ない危ない、危うく騙される所だった!

いやいや話が逸れた。問題はそんな所じゃない。
僕が真に言いたいのは、一応、愛の告白めいた事をだよ、僕はムツミに大会会場でしたというのに……君だって、その場の雰囲気に飲まれたんでしょうね、考えておくみたいな事を口滑らせてたのに……あまつさえ、あの後だって二人で決勝戦見に行ったり、パフェ食べたり、デートじみた事したのにだよ、特にお返事をくれないのは、プリプリ可愛く嫉妬している君の方じゃないか。
自分だけ見ていてほしいだなんて、ロマンチックな事を考えたり、嫉妬したりするんであれば、ちゃんと事前に僕を売約済みにするのが道理ってもんじゃないかな?
あっ、いえ、すみません、別に僕は怒ってるんじゃないよ、むしろ喜んで売約済みにされたいって思ってるくらいなんだよ。だからさぁ……

 「いやぁ、ごめんごめん、最近視力が下がったのかな、上手くピントが合わなくってね、つい変な目つきに成っちゃうんだな」
 「なら、わざわざ謝らないでよ」
 おいおい、釣りだったのかい? ツ・リ・ナ・ノ・デ・ス・カ?
最近ますますムツミに主導権を取られるようになってきた気がする。流石、肉人形一号を短時間で調教したムツミさんだ。侮っては痛い目を見る事に成るは確実!
 
「それにしてもね~、先輩が野島崎に居るなんてね~、びっくりだぁ」
 どうだ! くらいやがれ! 話題を変えるのは、僕の十八番さ。

 野島崎……千葉のアガラス岬という異名を持つ房総半島の南端であり、千葉の喜望峰と呼ばれる洲崎と並ぶ軍事的要所だ。

現在は千葉県政府の支配の及ばない館山を中心とする安房の豪族連合が名ばかりの支配をしているが、太平洋側の鴨川=南房総連合の襲撃をたびたび受け、無政府化し周辺はアガラス岬と同じくアフリカ南部の都市である20世紀のヨハネスブルグを思い出させるような高犯罪率の危険地帯成っているという噂だ。
ただ、この噂話も凄く前から有るものらしく、本当の所、あの辺りがどうなっているのかは千葉県政府にさえ解らないらしい。
 
「確かに、腕っ節を鍛えたいだけなら、ああいう危険な所に行けば、嫌でもパワーは付くかもしれないけど……大体の人が、その前にたぶん死ぬわね」
 何時も通りクールなムツミさん、いや、むしろ、ムツミ様だ。

本当に、最近更にとげとげしい性格に成った。ロボット部内の紅一点であった一年生の頃は、まだもう少し皆にチヤホヤされていたし、本人も今ほどキツイ印象じゃなかったが、今年に入ってメイ子が色々やらかしたり、部の代表として気を張っているうちにこんなに成ってしまった。

これは僕にも責任が全く無いとは言えない事だ。いや、責任を取るべき事なのだ。いやいや、むしろ責任を取らせて下さい、お願いします。
ムツミの赤淵メガネを見つめながら僕はそんな自意識過剰な事をしみじみ考えていた。



つづくっ!

近未来 超スクールウォーズ インモラル・ロボッツ 第6話

なっなんだって、最近本業が忙しいのでござるよ。サラリーマンの頃より忙しいかもしれない。まあ、だからと言って、たくさん稼げる訳じゃないんだけどね。てへぺろ。

それが自営業の悲しいところさ。そういう訳で、更新が遅れてしまったのさ、てへぺろ。

なんで、てへペろなのかって?そんなの日笠陽子をリスペクトしてるからに決まっているからだろうがぁああああ!

そんな事は皆さんにとって、どうでもいいですよね。今回は一章の感動の最終話ですよぉおおおおお!

えっ、なんで、そんなに語尾を伸ばすかっててえええええええ!

そんなの、高橋邦子をリスペクトしてるからに決まっているだろうがあああああああああ!



近未来 超スクールウォーズ インモラル・ロボッツ

第一章 ロボットワールドカップ編
第6話 「トゥエンティースリー」


目覚めると、時間はゆうに午後九時を回っていた。試合は午前11時前には終わっていたから、そのまま特設ラボに帰って10時間近く寝ていたという事に成る。
「くっさーぃ、これはないなぁ」
 ムツミはもう起きていた。
 「二日寝てないのもアレだったけど、二日風呂に入って無い事の方がずっと深刻だわ~」
 会場もラボも良く冷房が効いているが今は真夏だ。どうしても汗はかいてしまう。

 「ちっす!何だか、ペニス臭いっす!」
 メイ子が病院から帰ってきたようだ。
 「部長を看てたら、肉人形ちゃんも運ばれてきてビビったすよ。でも、勝てたんすね~パネェっす」
 「まあ、痛み分けって感じだけどね……二人の具合は?」
 「部長はペニス以外はもう大丈夫みたいですぅ。まあ、ペニスを使えない部長が部長と呼べるか、むしろ人間として数えていいかは別の問題ですけどね~あと肉人形ちゃんは、全身ボロボロみたいですけど、命に別状は無いみたいっす。」
 誰も死ななかった事はこの上なく良い事だ。でも明日の準々決勝はどうしよう。もう、5号機しか動かないし、敵は最強と噂されるグンマー高校なのだ。

 ※

 39年も続いているこの大会の優勝経験校は極めて少ない。僕らが2回戦で戦った山口県立ゲリラ学園は過去2度ほど優勝した事が有るが、それ以外の37回は全て2校がだいたい半々で独占している。

東の群馬自治区立グンマー高校と西の薩摩藩立シマズ高校。西と東の二強が圧倒的な武力を以て、他校を全く寄せ付けないのだ。ゲリラ高校が2回優勝をものにしているが、それはどちらも、運よく序盤でグンマーとシマズがぶつかり共倒れに成った時だった。
それくらいの絶対強者であるグンマー高校と明日戦わなければならないというのに僕らの手駒は……

「ぷはぁ~すっきりした」
 国立展示場のシャワールームが、ラボの学生用に開放されていると言うので、僕らはとりあえずシャワーを浴びてきた。
 風呂上がりのムツミ、石鹸の香りと濡れた髪が色っぽくてムラムラする。
 「次は、普通に考えて勝てないでしょうね……部長や先輩が居れば別だけど、このメンバーじゃ」
 「じゃあ、とりあえずセックスでもして時間を潰すっすよ。」メイ子が僕の手を引いて、仮眠室まで連れて行こうとする。
 「この、雌豚がっ! あんたは今日、全然働いてないじゃない! 報酬を受け取る権利が有るとすれば、私の方よ!」
 ムツミが僕からメイ子を引きはがす。おっ、これは……もしかしてムフフな展開!?
 
「でも、まだ、私らは負けちゃいない。負けるまで負けは決まらないんだ。もっと勝ちに執着しなくちゃ、今までぶっ倒してきた奴らに何か悪いじゃない」
 何だ、ベットに誘ってくれる訳じゃ無かったのか……内心ちょっとガッカリだけど、でも、今日のマーちゃんとの戦いで、僕ももっと頑張りたく成ったのは事実だ。子作りしてる場合じゃねーっ!
 
 「そー来なくっちゃな!」
 甲高い声を上げたのは、あの、人気ロリっ子ネットアイドルのマーちゃん(21歳)であった。
 「あなたの学校は地元に帰ったんじゃいの?」
 「私らは、ここが、東京が地元なの、房総の田舎モンといっしょにしないで、プププ。」
 「あの、あの、ネットアイドルのマーちゃん(21歳)さんですか!さっき、病院で暇だったんで、ネット廃人Wikiで見たっすよ、本当にちっちゃいんですね~ちょっと聞きたい事有ったんですけど、女の子なのにどうやってボトルにオシッコするんすか?」
 「あんた誰よ? あんなの簡単よ、コツさえつかめばね!」
 コツさえつかめば簡単なのか……すごい。

 「この子は、今朝はちょっと病院に行ってて居なかったけど、私達と同じ、十余二校ロボット部の部員なの」
 「ほほぉ、腹でかいんだね。増えまくりだなぁ。」
 「はい、増えまくりっす。」
 「増えまくってたら、ゲームに勝てねえんだよっ!」
 マーちゃんは一体何をしに来たのだろうか? 本当なら一刻も早く家に帰ってレベル上げに勤しみそうなキャラなのに、わざわざ敵陣まで来て……
 「まあぁ~何だ、まだ戦いたらねぇって奴だよ。明日の戦い私にも手伝わせてよ」
 「手伝わせてって、マーちゃんは部外者でしょ。」
 「気にしない、気にしない。グンマー校は強いから、こっちが何やっても文句言わないよきっと。」
 そういう問題じゃないと思うけど……
 「まあ、いいわ。やるだけやってみましょ。」
 ええっ、「まあいい」でいいの? ムツミが言うなら惚れた弱みで従うけどさ、反則とかには成らないのかな?
 「じゃあ、とりあえず、ここには四人。ロボットは私の分は持ってきてるし、ここに一台ある。てーことは、今晩中にドライバーをあと1人、ロボットを6台、用意出来れば万全って事だな。」
 おいおい、そんな無茶な。

 しかし、そんな突っ込みはマーちゃんに届くはずもなく、何だかムツミもメイ子もやる気満々だ。とりあえず、ラボの中の壊されたパーツを集め、何とか1台ロボット組み立て、あと5台も特設ラボのごみ置き場をあさって、色々組み立てたり、夜中もやってる近くの何でも屋でラジコンカーを買って改造したりして何とか工面する。
 操縦者の方もネットアイドルであるマーちゃんが、知り合いのネトゲ廃人の女の子を連れてきて準備完了。



『準々決勝、第一試合、千葉県立十余二高校と、群馬自治区立グンマー高校の対戦です。両校代表前へ!』

「千葉県立十余二高校、副部長のむっ六実睦です。きっ貴校の胸を借りるつもりでっ、全力で戦わせて頂きます」
 「……」
 グンマー高校の代表は、通訳のような女性に耳打ちして、その女性が挨拶も行う。ちょっと変だがいつもそうらしい。
 「群馬自治区立グンマー高校、部長のウスイカ・ルイ=ザワです、よろしくお願いします。」
 
 異様なオーラ。最初から勝てる気がしない。そう思わせる圧倒的な強者のオーラ。それがグンマー高校には有る。
試合会場に入場した時から、あのムツミが緊張で諤々、噛みまくっているし、メイ子は「ちょ、トイレで一発オナってきて良いっすか?」と五月蠅いし、今回覆面をして参加してもらっているマーちゃんは恐怖のあまり、ボトルを用意する前に失禁するし、その友達で同じく覆面をしている娘も下呂を吐きながら「帰りたい、帰りたい」と泣いている。やべぇ、特にネトゲ廃人二人のメンタルは豆腐並みだぜっ。
 しかし、僕も負けちゃ居ない。さっきからお腹の調子が急降下状態なのだ。あと5分持つかどうか……

 『それでは試合を開始します! 3・2・1・GO!』

 ※

 「ふうぅ、間に合った。」本当に良かった。間に合った。しかし、会場でウンコを漏らしてしまうのかとか、内心ヒヤヒヤしてたけど、飛んだ杞憂だった。全然楽勝、楽勝。楽勝でトイレに間に合った。

 そう、僕達のロボは瞬殺された。全く歯が立たなかった。急ごしらえのマシンだから? 寄せ集めのメンバーだったから? みんな調子が悪かったから? ノンノン、そんなレベルの戦いじゃあない。あれはもっと恐ろしいもの。力の差云々ではなく、圧倒的暴力に僕らは屈したのだ。

 「まあぁこんなもんだろ。しゃーない、しゃーない。今回は準備不足だったしな」パンツもズボンも濡らしてしまったマーちゃん(21歳)が下半身にタオル一丁巻いたままリーダー面しているが、全くカッコ付いてないよ。
 「そうっすね、ちなみに私の、好きな四文字熟語は尿★漏★対★策♪ですっ!」
 「おいっ、喧嘩売ってんかてめぇ!」メイ子の胸倉をつかむマーちゃん。タオル外れそうだよ。
 「あのぉ、お役に立てないですみません。今日は体調も悪いので帰らせてもらいます……」
 「ああ、すんません、わざわざ来ていただいたのに、嫌な思いさせちゃって……」
 「いいえ、いいんです。あのオーラに比べれば、城攻めも、狩り部屋も、アンチも怖くないです~。これからは力強く生きてゆきます(主にネットの中で)」
 「おう、またネットの海で合おうな~」
 「ラジャ」
 まあ、みんな空元気かも知れないけれど、何とか心は完全に折れずに済んだかな。
 「じゃあ、私もそろそろ帰るわ。ネットゲーの中で待ち合わせしてるしよ。じゃあなぁ~、また面白そうな事有ったら、呼んでくれや。」
 「ああ、はい、何だかんだで有難うございました。」
さて、僕らも撤収準備しないとな……あー? あれれ、ムツミがさっきから居ないような気がするよ。
「メイ子、ムツミを知らない?」
「あの女、きっと、トイレでオナってるですよ~鬼の居ぬ間に、気晴らしセックスするですぅ」
 メイ子に聞いたのが馬鹿だった。
ラボ内を探すが何処にもいない。部長達の入院している病院にも電話してみたが、お見舞いにムツミの様な女性は来ていないという。
一体何処に行ったのか?一番気丈に振舞っていたけれど、本当は、代表者として気を張っていただけなのかもしれない。なんせ、まだまだ花も羞じらう16歳の女の子なのだ、某ネットアイドル(21歳)とはナイーブさが違う。

 僕は国立展示場内を走りまわって探すが全然見当たらない。メイ子にも共同のシャワー室やトイレを見てきてもらったが、居ないという。
 「たぶん、折角東京に来たからって、アキバでエロいもんでも探してるんじゃないですかね~」
メイ子ならともかく、ムツミがそういう事をするだろうか?それ以前に誰にも何も言わずに、勝手にどこか行ってしまう事自体がムツミらしくない。

 くそっ、もう、日が暮れてきた。そろそろ撤収の準備を急がないといけない時間なのに、ムツミは見つからない。
けれども、これはチャンスだ、だって、だいたい夕日が出ている時、夕日の見える所に行けば、女の子に会えるんだ。それはずっと昔からのお決まりのパターン。
「はあ、はあ、ムツミ、やっと見つけた。」
 階段を登りきった、デッキのベンチに彼女は一人座っている。
 「亀島君……」
 「何で、何も言わずに、どっか行くんだよ。心配するじゃないか……」
 「ごめん。でも、我慢……でき無かったんだ……」
 ムツミはしくしくと泣き始めた。ぶっちゃけ、ムツミが涙を流す所は初めて見たし、女の子を泣かせるのも初めての経験だ。ドキドキするし、申し訳ない以前に、形容し難い……まるで大人に成ったような気分。

 「ムツミ……」
 「ごめん、ごめんなさい。でもこんな、こんな情けないところをみんなに見せたくなかったのかも……もう良くわかんない。」

 部長が入院したり、死んだり、蘇ったり、再び入院したり、インポテンツに成ったりで、色んなものがムツミの小さな肩にのしかかっていたのだ。僕はそれに気づけるはずだったし、もしかしたらちゃんと気づいていたのかもしれない。
でも、何か、恥ずかしくって(たぶんムツミ自身も恥ずかしがりそうで)ちゃんと助け船を出せなかったんだ。ちゃんと助けちゃったら、本当に恋人同士に成れそうで、でも、そういう相手の弱みに付け込んで、必要以上に優しくして、それで恋人同士に成るなんて、ズルい気がして、だからちゃんとムツミに優しく出来なかったんだ、きっと。
 
「負けは、当然だと思う。でも、すごくみんな頑張ってくれた。亀島君はいつも私をちゃんと支えてくれたし、メイ子もアレで皆が落ち込みそうな時にわざと、おちゃらけてくれてるんだろうし、部外者のマーちゃんや、その友達も無償で協力してくれた……」
いやぁ、ムツミ、皆はともかくメイ子は素でああいう女だよ。
「それなのにあんな無様な負け方なんて、自分で自分が許せないよ。」



『それでは試合を開始します! 3・2・1・GO!』

試合開始のブザーが鳴った。もう、相手のオーラに押されている場合じゃない。戦うんだ。というか、最近めっきり選手も、ギャラリーも、主催者でさえも忘れていると思うけどサッカーするんだ!
 敵のマシンは主流の車両型ではなく、四本の足を持った四脚型だ。我々の2足歩行型よりもこなれた、信頼できる安定性重視の機体だけれど、どの程度のスピードがあるのだろうか?
加えて、上半身は人型だ。まるでケンタウロスのような勇姿、優勝常連校はどの程度の実力を持っているのか、純粋にロボットサッカーに関わる人間として気に成る所……うーぅん、やっぱり、お腹がギュルギュルするぅ~
しかし、逡巡する暇など無かった。あっという間に、ボールは奪われ、一点が入れられていた。それと同時に、ゲロを吐き続けていた、助っ人の女子のマシンが、四本足のロボットの後ろ蹴りで破壊される。何なんだ、この速さ、この軽やかさ。
「ふざ、けーんな!」
マーちゃんが十八番の超音波カッターを振るうが全てかわされ、逆に相手ロボットの放った弓に射抜かれ撃沈。
『ペニスパイダー』ムツミが網で敵を捕らえようとするが、いかんせん敵のスピードが素早やすぎる。また馬の後ろ蹴りのようなキックで行動不能に追いやられ。メイ子のマシンもいつの間にかバラバラに成ってるし、最後に残った、廃品を組み合わせ何とか作った僕のマシンも、無数の弓に射抜かれて動かなくなった……

 ※

 「私は……もっと、何か、出来たんじゃないかな? 確かにロボットも、人員も完璧じゃなかった、でも、もっと、部の代表として、せめて、もうちょっとだけ……」
 いやいやムツミさん。あれ以上長引いてたら、僕は会場でウンコ漏らす所でしたよ! って本音を言っても、この雰囲気では彼女を励ます事は出来ないだろう。
彼女は自分自身を許せないのだ。なまじ優秀だから、本当に打ちのめされてしまったんだ。こうなると僕みたいな人間には慰める事なんて出来やしない。僕にできる事は……

 「ムツミ、君は今回の事で君を嫌いに成っちゃってるかもしれないけど、僕は君の事を結構好いているんだよ。だから、君がどんなに君を嫌いになっても、我慢しなさい。僕が君を好きなんだから、君には君を続けてもらわないと、僕は割と困るんだ」

 話題を変えることぐらいだ。

 「はっ、それでも愛の告白のつもり?」
 「僕はあんまり情熱的な人間じゃないから、いい恋人には成らないかもだけど、いい旦那には成るかもだよ。」
 「旦那か……」
 「まあ、ムツミの方がしっかりしてるから、女主人と、お手伝いの執事でもいいけどさ。ムツミとは、割と永く一緒に居たいと思うんだ。」
 「まあ、考えとくよ……有難う。」

 そして僕らのロボットサッカーインターハイは終わった。

 けれども、その後は大変だった。本当は昼間にやるはずの撤収作業を夜中にやる事に成って、暗くて幾つかパーツを落としたり忘れたりで、次の日、会場に取りに行かされたけれど……
でもそのおかげで、決勝戦をムツミと二人で観れたり、その後、二人でパフェを食べたり有意義な時間を過ごせた。

そういえば、もう一つ忘れものが有った。別に僕らの忘れものじゃないけど、マーちゃんがズボンとパンツを会場内のコインランドリーに忘れていったのだ。
それを僕らは次の日のネットニュース『ロリっ子アイドル、マーちゃん(本名:八千院 万子・23歳)、白昼の都内で下半身露出、猥褻物陳列罪の容疑で逮捕。容疑者本人は露出を否定し「パンツとズボンを穿いてない事を忘れていた。タオルを巻いていたが、いつのまにか外れてしまっていた。」などと意味不明の釈明をしているという』という記事で知ったんだけどね。

……えっ? 23歳?         
    
(第二章に)続く

近未来 超スクールウォーズ インモラル・ロボッツ 第5話

ちょっと遅くなりましたが、前回の続きですっ!

あと、コミケ決まりました。

熊谷雑文組合は金曜日の西地区、「こ」の03bのブースです!

よろしくなのです~


近未来 超スクールウォーズ インモラル・ロボッツ
第一章 ロボットワールドカップ編


第5話  「登場!ボトラーアイドル、マーちゃん」 

 二足歩行ロボットに超電撃肉棒8本と、大型コンデンサーを積めば、過積載どころか、移動はおろか、直立させるだけでやとっであった。そこで、8号機の移動にはペニスカッドミサイルを使う事にした。爆風に費やす部分の火薬も全て推進剤にし、圧倒的な推力で一瞬にして相手の懐に潜り込めれば、そこで試合は決まる。それ以上動く必要など無いのだ。

 8本の超電撃肉棒は、強力な電撃と電磁波をまき散らす。更に束にする事で、相乗効果を得て、プラズマ化したエネルギーの力場を一瞬だが作る事が出来る。左右に四本ずつ展開した黒光するペニスが、大容量コンデンサによって更に強化され、マシンの左右に細長い力場を形成した。
 敵のロボットは金持ち学校の高級品。対電撃塗料もいいのを使ってるだろうし、電磁波障害対策の為、回路に特殊なコーティングを施していてもおかしくは無い。
しかし、その程度の対策では、このマルチプルペニスの作りだすエネルギーの力場の嵐に耐えきれるはずもない。

 「わっ、私達のロボットが溶けたですって……」
 まるで、写真機のフラッシュのようだった。フラッシュが焚かれる前までそこに有った物が、次の瞬間、原形を留めず破壊されているのだ。

 会場には樹脂やゴムや金属が焦げたような匂いが充満する。相手の車両型マシンは歪んだ形に変形し、所々から火を噴き出している。壮絶すぎる威力に敵も味方も驚嘆し、まだ試合終了のブザーが鳴っていない事に僕も含めて、殆どの人間が気が付かずにいた。

 「よくもぉおおおっ」
 僕の8号機の足が切り落とされ、本体にも斬撃が入る。
 「これで、もう動けないでしょ!」
 少しだけ射線がずれたのか、それとも、異常に反応の良い操縦者なのか、一体だけ敵機が残っていたのだ。

 「まあ、近くに居続けるとまたその棒で攻撃されかねないからね、あんたのロボットはその場に立ち往生したまま、もう一体のロボットが、私の愛機に破壊される所を指を咥えて見ているといいわ。」
 「指を咥えて見ていろとか、調子に乗らないで、あなたなんてペニスでも咥えて居ればいいのよ!」
 「ムツミ、挑発にのっちゃだめだ。あの子は白金校のエースとして有名な通称『ロリババアのマーちゃん』だ。一年生だけど、入学当初から『学校行ってたら、ネットゲーのレベル上がらねえよ』って、ブチキレてしょっちゅう休学しているから、ああ見えて実質高校在学期間は6年目。僕らより3、4年も年食ってるこの界隈では有名な廃人だよ。」
 
「ペニスだとぉおおお、男となんかと遊んでたら、ゲームに勝てないんだよっ、ボトラーの実力をなめんなぁ!」

『希少な女性ボトラー(ゲームなどに熱中し過ぎて、トイレに行くのも惜しい為、ペットボトルを尿瓶代わりに用を足す、最上級ネット廃人に与えられる称号)で、しかも年齢にそぐわぬ程に外見の幼い彼女は、動画配信サイトなどで神ゲーム動画を上げ始めると、途端に人気急上昇。ファンが集まり今ではちょっとしたネットアイドル。全国のロリコンどもの心を鷲掴みなのさ。
しかしてその実体は名家のお嬢様。お金持ち学校の白金大学付属校にコネで入ったけど、ゲームが忙しくてあんまり通ってません(笑)おとーさん、おかーさんごめんなちゃい。テヘぺろ❤』って、ネットの『ゲーム廃人Wiki』のロボットワールドカップ出場者名簿のピックアップガールの欄に載っているのだ。ちなみに、我が校の女子はあまりゲームもやらないし、強豪校でもないから紹介されてないけど、地味に部長は『新生М男』みたいなキャッチフレーズで取り上げられていたりする。

 敵のマシンは一般的な車両型だが、彼女の物だけは色もピンクで特別仕様のようだ。他の機体に付いていたサッカーボールを保持するような板や防御用の装甲板の様なものが取り払われている代わりに、背中から2本のフレキシブルアームが伸び、その先に鋭利なカッターが設置されている。

それにしても素早いマシンだ。幾ら装甲板などが無いといっても、代わりアームとカッターが付いている。普通の切断装置は回転のこぎりなどで無い限り、対象を上手く切り裂くには、刃自体の鋭さだけでなく、カッターを振りおろした時に生じる位置エネルギーも必要とする。どんなに切れる日本刀でも、ゆっくり動かしたのでは攻撃力は半減してしまうのと同じだ。
しかし、あのスピードを得るためにはかなりの軽量化が必要だ。見た所、アーム自体も細くパワーは無さそうだし、カッター本体も薄く、軽そうなので、慣性の力を利用する事も不可能だろう。
では一体あの刃物は……軽量で有りながら、いとも簡単に8号機の足を切り落とした切れ味も鑑みると『超音波カッター』と見て間違いは無いだろう。そうであれば、スピードと切れ味の両立に合点が行く。しかし、やっぱりお金持ちは高いパーツもじゃんじゃん使えて羨ましい。

 「いいわ、いいですわよ、マーちゃん。私達が単なるお金持ち集団じゃなく、戦っても強い所を見せて差し上げなさい!」
 「おいおい金丸部長~あたしゃ、一応あんたより年上なんだから、ちゃん付けは辞めろって何時も言ってるじゃないかぁ」
 マーちゃんの機体は、FPS(主人公の一人称視点でゲーム中の世界・空間を任意で移動でき、武器もしくは素手などを用いて戦うアクションゲーム)廃人特有の挙動である素早い蛇行を繰り返しながら、必死に逃げるムツミの5号機に向かってくる。
 「ホレホレ、追いついちゃうよ。追いついちゃうよ~♪」
 
ムツミは逃げながらも何とか、動けない僕の8号機の方にマーちゃんのロボを誘導しようとするが、足の速さが違いすぎる。8号機はコンデンサーを傷付けられたとはいえ、8本のペニスは未だに健在である。プラズマの放出は無理だとしても、至近距離の敵に強力な電撃攻撃をする事自体は今でも可能なのだ。
しかし、このままでは、8号機のペニスの射程圏に入る前に確実に追いつかれる。
 「あははっ、その手には乗らないよ~。自分の機体で誘導してツレのロボットにトドメを刺してもらうとか考えてるんでしょうけど、そうは問屋が卸さないわっ。その前に切り裂いてあげちゃうし、ツレのマシンのコンデンサー傷付けておいたから、もう遠距離にプラズマ飛ばすような芸当も出来ないはずよ!」
 平和な街ですくすく育った都民のくせして戦い慣れてやがる。ネットゲー廃人恐るべし!

「あなたの機体は、直接サッカーに参加しないアタッカー役のようね。素早いけれど、外さないよ!」
 『ペニスパイダー』追いつかれそうに成った、五号機のペニスから、細い蜘蛛の巣の様な糸が広範囲に噴き出す。並みのマシンで有れば、これで確実に動きを封じる事が出来るが、マーちゃんのマシンには牙も爪もある。
 
いとも簡単にネットは破られ、四散する。それでも糸を吐きだし続けるペニスパイダー。しかし、出せば出しただけ切られる運命。哀れな糸くず達は少しフワフワと浮いて地面につもってゆく。
「間に合って……」
「悪あがきも終わりよっ!」
遂に迫ってきた超音波カッターから逃れるために5号機はバックステップをするが、間一髪間に合わず、ペニス型モジュールは切り落とされてしまった。
「あははははっ、おちんちん、ちょちょん切っちゃった、てへ❤」

「今よ、亀島君! 床に向かってペニスを!」

ムツミの叫びで、僕は何も考えず8号機のペニスの電撃を床に向かって放出する。
 じゅぶぶぶぶぶぶぶぶ~
 何かが沸騰するような音と共に、鼻につく、ゴムが溶けるような匂が立ちこめる。
 「チェックメイトよ。」
 「何?一体どうしたの? マーちゃんのロボット動かないのぉ! おかしいわ、どうしちゃったの……」
 あわてふためくマーちゃん。
 「一体何なの?オーバーヒートでも起こしちゃったのかしら? いいえ、お金をかけて整備しているんだから、そんなことは無いはず。それじゃ、知らない間に黒いペニスの電撃攻撃を受けていたの? いいえ、それも無いわね、あのロボットは1ミリも動けてないし、しかも私たちのマシンは普通の電撃攻撃や電磁波攻撃ではビクともしないコーティングをしているのよ、さっきみたいにプラズマでも飛ばされない限り……」

 「確かに、あなた達の御高級なマシンの本体はそういう仕様みたいだけれど、足周りはただのゴムタイヤだったようね……いいえ、ただのゴムタイヤじゃない、今では高級になった天然ゴムのタイヤを使用していたんじゃないの?」
 「そうよ、それがどうしたって言うの! 天然物の方が柔らかくて素早く動くときにグリップが利くのよ、確かに耐久性は人工の物以下だけど、頻繁に交換すれば何の問題ないはず。今日だって新品を下ろしたばかりなのに……あっ!」

 「何、何なの? タイヤが……」
マーちゃん専用マシンのタイヤが溶けて床にくっついてしまっている。これではどんなに頑張っても動けるはずが無い。

「天然ゴムは確かに、電気を通さないし電磁波も関係ない……でも熱には非常に弱いの」
 「熱? 熱って一体何処に熱源が……」
 「フィールドを見てみなさい!」
 フィールドから半分、敵チーム側には切り裂かれて散乱したペニスパイダーの糸が積っている。その糸くずは、マーちゃん専用マシンの足元はもちろん、足を斬られ動けない僕の8号機周辺にまで届いているのだ。
 「この糸、細さと強さを両立するために金属で出来ているの。金属は良く電気を通すし、その電力量が大きければ発熱もするわ。」
 そう、ムツミはただ、苦し紛れでペニスパイダーを撒いた訳ではない敵に近づけない8号機とマーちゃん専用マシンを繋ぐ電線にするために、ペニスパイダーを放っていたのだ。
「じゃあ、最後にバックステップで逃げた時、ペニスを私に切り落とさせたのも……」
「自分が感電してしまわないように糸の落ちている場所から逃げる事と、ペニスパイダーという電線と繋がったままのモジュールを切り離す事を同時に行うためよ。タイミングはかなりシビアだったけど、何とか成功して良かったわ」

その後、ムツミのマシンは誰にも邪魔される事無く、サッカーボールを相手チームのゴールに入れた。マーちゃんはそれでも諦めきれないようで、リモコンを握りっぱなしだったけれど、結局タイヤは床にくっついてしまっているし、仮にモーターの動力によって力ずくではがしたとしても、変形してしまったタイヤでは、ボディに干渉して走れないだろう。
「くそぉ、なめんなよぉおおお!」
しかし、マーちゃんはくじけない、彼女にはゲームに捧げてきた時間の長さだけ、経験も誇りもあるのだ。

スパパパパパッ
二本のカッターを器用に動かして、タイヤが地面に張り付いている所をカットし、変形した部分も丸く切りそろえて、何とか動ける状態にしたのだ。やっぱりマーちゃんは天才だ。
「何という執念……恐ろしい娘」
「ムツミの五号機は僕の八号機の後ろに避難させて」
「関係無いわ! 両方とも、バラバラにしてあげるんだからぁああああ!」

何とか動けるように成ったとはいえ、タイヤは片側がすり減ったような変な形のままだ、機体は動くたびに大きく上下し、スピードも出ない。しかし、それでもマーちゃんのマシンは歩みを止めようとはしない。
「バラバラになれぇえええ!」
「くらえ、8連超電撃肉棒!」
大容量バッテリーは壊され、ペニスに内蔵された電池の残量も減ってきているので、プラズマを形成する程ではないが、8本のペニスによる電撃は、マーちゃんのマシンに届いているはずだ。
しかし、やはり結構お高いコーティング剤が効いているのか、なかなか動きが止まらないし、それどころか、超音波カッターは動き続け、超電撃肉棒を一本一本切り落としてゆく。何と化け物じみた執念だろう。

スパアァ スパァ ドサァ

 遂に最後のペニスが切り落とされ、8号機本体も、何度か切りつけられ、機能を停止した。
電撃はもちろん、もう止んでいる。マーちゃん専用マシンはあの攻撃を耐えきったのだ。
しかし、ここにもペニスパイダーの糸は沢山散らばっている。タイヤは熱で完全に溶けて無くなった。もはや足に付いているのは、シャフトとホイールだけ。ホイールの直径は、僅かに地面に付かないサイズであった為、幾ら回しても、もう1センチも動けない。
「まだっ、まだ終わってなんかない!」
刃の付いたアームで地面を引っ掻きながら匍匐前進の様に、マーちゃん専用マシンはゆっくりと動き始めた。しかし、悲しい事に、それだけだ。

このスピードでは、どんなに頑張っても、未だ両足が健在のムツミの5号機には追いつけない。

マーちゃんは最後までリタイアしなかった。ムツミはそんな中、ひょいひょいと点を重ねてゆく。結局、前半戦終了と同時に、僕らの十余二高が10対0でコールド勝ちをもぎ取った。

 ※

 「本当に良い戦いだったわ。」
 白金大学付属高等学校、部長の金丸銀子はすがすがしい表情で言った。
 「ごめんなさいね。100万円ももらったのに、裏切っちゃって。」
 ムツミは最初から裏切る気満々だったというのにバツが悪そうだ。
まあ、最後は試合の展開的に、諦めないマーちゃんと非情にも点を重ねてゆくムツミといった具合で、なんとなくムツミが悪役みたいな立場に成ってしまったから、少しやり過ぎたかなぁとか思ったのかも知れない。
「私達にとって、100万なんて、はした金どうでもいいんですの。本当は最初から他の学校と本気で戦ってみたかったのです。でもスポンサーのOB、OG、PTAの方々からどんなに金を積んでも勝ちなさいって強制させられていたから……ここまでちゃんと戦いたくても戦えなかったのです。でも、あなた方はスッパリ裏切って下さいましたわ。おかげでうちのエースも……今は膨れちゃってますけど、きっと楽しめたんだと思います。私もこんな熱い戦い初めて体験して感動しましたわ。これからはちゃんと正々堂々と戦っても勝てるように精進していこうと思います。100万の方は、あなた方の軍資金として、お使い下さいな、熱い戦いをしてくれた貴校への、私たちからのせめての感謝の気持ちだと思って下さい。」
さりげなく、金持ち自慢されてしまったけど、こいつらは本当は良い奴等だったんだな。特に100万円をくれた所はかなり評価しても良いと思う。

「亀島君……」
ムツミが頭を僕の肩にもたげてきた。
「ねみ~。」
「僕も眠い。とんでもなくね。」




次回に続く・・・

近未来 超スクールウォーズ インモラル・ロボッツ 第4話

前回の続きですっ!

近未来 超スクールウォーズ インモラル・ロボッツ
第一章 ロボットワールドカップ編


第4話 「必殺!閃光のマルチプルペニス」

 僕らは黙々と蘇生法を続けた。しかし、部長が息を吹き返す兆候がまるで無い。

「マスター、100万円換金してきました!」
僕とメイ子が声も出さずに黙々と作業を続け、ムツミは未だ放心状態にある。そんな混乱に満ちた沈黙を破ったのは肉人形1号の帰還の挨拶であった。
そして、間もなく彼女もこの惨状を目にし、混乱の渦に吸収される事に成る。
彼女にとってはまるで知らない人間の死だが、殺したのは自分と同じ顔のメイ子であるし、自分の主人であるムツミの絶望に満ちた表情が彼女にこの上ない心的ストレスを与える。
が、しかし、彼女の心は立ち止る事をしなかった。軍隊式のゲリラ高校で鍛えた精神力がそうさせたのか、同じ遺伝子を共有するメイ子への慈悲の心なのか、敬愛する主人への忠誠心からなのか、それは誰にもあずかり知る事は出来ない。
しかし、彼女はやってのけた。僕らが出来なかった、混乱した空気打破への挑戦を!
 
 「私が自首します!」
 僕を含めて一同がまだ沈黙の底に有る中、彼女は続ける。
 「私とメイ子さんは同じ遺伝子、つまり、同じ指紋です。ですから凶器についた指紋は私の指紋でもあるのです。私が殺した事にしても警察にはバレませんし、私は部外者です。部外者の……マスター達に惨敗したゲリラ高校の生徒である私が、逆恨みしてこのロボ部の部長さんを殺してしまったということにすれば、マスター達は純然たる被害者と言う事に成ります。そうすれば、大会主催者側は、マスター達を憐れむ事はあっても、出場停止などの制裁を与える事など無いでしょう。」
 何と健気な肉人形だろう。どんな調教をすれば、短時間でここまでの忠誠心を植えつけられるのか……
まてよ、そうなるとだ、もし仮にだよ、僕とムツミが両想いに成ってだ、結婚なんてしちゃったら最後。この肉人形みたいに調教されちゃう可能性有りって事!

 うわぁ~どうしよう。色んな意味で❤

 「駄目ですぅ! 殺っちまったのは私なのですぅ! 同じ遺伝子の肉人形ちゃんは、私にとって姉妹も同然。そんなあなたを、身の保身のために売り飛ばす事なんて……ああ、補足しとくですけど、『姉妹』っていうのは性的な意味では無い普通の意味での姉妹の方ですぅ」
 「そうよ、肉人形1号。私と貴女は身分の差こそあれ、主従関係という絆で結ばれている仲間なの。仲間にそんな濡れ衣を着せる事なんて出来ないわ!」
 
おっ、良いなぁ、ムツミとの『主従関係という名の絆』羨ましい。なんて声には出せないので、「そうだよ、僕らは仲間じゃないかぁ」みたいな感じに、お茶を濁す。
しかし、こんな仲間同士の絆を再確認しあっても、何の問題解決にも成らない。部長の死という重すぎる事実が僕らの背中にのしかかるが……いや、まだ完全には死んで無いかもしれない。そう、まだ試していない事が有る。
心臓に電気ショックを与える事で蘇生できる場合が有る。しかし、近くにその為の装置が無いいぃっと思いきや、有る! 先輩が作ってきた超電撃肉棒。
「電気ショックを使おう!」
 僕の声に反応して、ムツミが黒光りする人工のペニスに手を伸ばす。「体内に直接流し込むわ!」ムツミの混乱はまだ解けていないのか、それとも真面目にそうした方がいいと思ったのか、彼女はその棒を部長の肛門にねじ込み、そして……
 
 ※

 「うっ、うっ、痛いよ、ほんと、これは……」部長は、お尻を抑えながら嗚咽しているが、意識ははっきりしているみたいで、僕らの質問に対して首を振ったりして受け答えは出来るようだ。
人工呼吸と心臓マッサージのおかげで脳が無酸素状態に成らずに済んだようで何よりだ。
色々検査した方がいいと思う。特に人工マッサージで、もしかしたら肋骨にひびくらい入っているかもしれないし、お尻の方はそれ以上の損傷を負っていてもおかしくは無いので、メイ子と肉人形1号に付き添わせて部長を何とか病院に送りだすと、既に時間は夕方近くに成ってしまっていた。
 
「かなりの時間をロスしてしまったわ。でもこれがあれば勝てるかも知れない」
「そうは言っても、幾らなんでも時間が無いよ……動けるマシンはペニスパイダー搭載の5号機とペニスカッドミサイル搭載の8号機だけしか……」
 「2機も居れば上等よ、一機で敵を全滅させて、もう一機で点を取れば良いのよ。」
 「まあ、理屈ではそうだけどさ」
 「部長の持ってきた鞄。大きいと思ったら、これと同じ物が7本も入っていたわ、合計8本ね。大方、8機のマシンを修理して全てにこの棒を付けようと思ったんでしょ。」
 「部長の技術が有れば、まあ、完全ではないにしろ8機とも歩けるくらいには直せたかもね……でも、そう出来たからって、勝てるとは……」
 「私もそう思ったわ。幾ら、凄い電撃を与えられるからと言って、同じ武器だけでは勝てない……でも、流石に部長はすごいわ。試しにペニスを数本起動させたら相乗効果でさらなる電撃が出たの、それと同時に私の持っていた携帯端末が壊れたから計器で測ってみたら、電撃だけで無くて非常に強力な電磁波を出てる事も解ったわ、たぶん部長はこれを利用してフィールド上を電磁波の海にして、相手のロボットの回路を破壊しようとしたのね。」
 「でも、僕らにはフィールド上にペニスを分散させるだけのロボットを用意できる時間も力も無いよ。」
 「そう、でも、相手が分散する前に倒せばいいだけの事。幸いロボットワールドカップは、普通のサッカーと違ってスタート時に自分のフィールドの端から出発しなければならないルールに成っているわ。だから、最初に中央に置かれたボールを取りに行くために足の速いマシンを作らなきゃならなかったりとか、駆け引きが産まれるんだけど……」
 「つまり、開始直後は、敵も味方もフィールドの淵に固まっている!」
 「そうよ。名付けて先手必勝作戦!詳しくは作業しながら話すわ。」
 
そして、僕とムツミの長い夜が始まった。

 ※
 
 もう、二日もちゃんと寝ていない。何とか2体は完璧に仕上げられたと思う。
 「あとは、亀島君のロボット操作にかかってるわ」
 「任せな、ちゃんと全員ぶっ壊してやるよ。」
 「何時に無く、強気ね。」
 眠たいけれど、もっとムツミと話していたい。ムツミはどう思っているのかな? 僕と同じなのか、それとも、おいおい話しかけんなよ、眠たいんだよ! と思っているのかな……
でも、今は何だか、ムツミと二人っきりで、一晩続いた作業を終えて、一息ついて、まどろみながら、重い瞼同士で見つめあって、とても幸せな気分だ。
幸せ序に告ってやろうか、何て切り出そうか、「この試合が終わったら……」みたいなのは絶対駄目だ。負けフラグが立って縁起が悪い。こういうのに結構ムツミは五月蠅いのだ。でも、早くしないと、たぶんムツミも僕も眠ってしまう。
 「そういや、今日は平気なの?」
 「何が?」
 「疲れマラっていうの、昨日はやらかしてたじゃん」
 こういう時にそういう事言うのかよ、そりゃ、昨日はマシンに自分の分泌物を仕込んだりしちゃいましたけどね。

でも、何と答えればいいのだろう?「じゃあ、君が相手してくれるの?」とか「君の事は、結構真剣に好きだから、変な挑発はしないで」とか「よっしゃあ、孕ませてやるぞ!」とか「男にそういう事言っちゃだめだよ」とか、「いや、実はさっきオナったんで、大丈夫だよ」などなど、他にも沢山の台詞を考えたけど、どれもわざとらしい気がして何も言えなかった。何も言えない事は、意気地が無い事かも知れないけれど。それくらい慎重になっちゃう僕の気持を解ってほしいな。

 「おはようございます!」
超、スーパー、とんでもなく、ナイスタイミングで肉人形が帰ってきた。「おっ、お帰り、我が下僕!」ムツミも僕に変な事を言って内心戸惑っていたのかちょっと頬が赤いぜ。そうなるくらいなら変な事、最初から言うなよ、こんちくショー、そして、肉人形1号、本当に有難う。

 「部長の調子はどうだった?」
 「命に別状は有りませんし、脳波にも問題は有りませんでした……しかし……」
 「そういえば、メイ子が居ないけど、まだ部長に付きっきりなの?」
 「はい、部長さんのある部分に、甚大な障害が残ってしまったのです!」
 「甚大な障害……一体どの部分に?」
 嫌な、ものすごく嫌な予感が……
 「部長さんは、肛門の深部に強烈な電気ショックを受けたせいで、隣の臓器である前立腺に影響が出て……インポテンツに成ってしまったのです!」
 「なっ、何て事……」
 一同は凍りついた。確かに部長の生命を取りとめることには成功した。しかし、部長はあの若さにして男性として死んでしまったのだ。
 肉人形1号の話によると、メイ子の落胆ぶりも激しかったという、これで、メイ子が使用できるペニスが一本減ってしまったという事なのだから……メイ子は今でもその事実を受け入れられず、放心状態のままなので、ここには連れてこれなかったらしい。

 「やはり……肛門に刺したのはいけなかったかな……」
 ムツミの顔に影が落ちる。
 「ムツミは……部長の命を救ったんだ。君は悪くないよ。」
 「そうです、マスターは立派な事をしたのです! ご自分を責めるような事はおやめ下さい。それに、今はそれどころでは有りません」
 
「それどころではない」とは、どういう事だろう。ペニスが一本失われたのだ、それ以上に深刻な事態がこれから起ころうとでもいうのだろうか。
 「奴らが、ゲリラ高校の連中がここに攻めて来ます。あの人たちは私達に負けた事に納得いっていないようです。先ほど念の為に向こうの陣営に偵察に行った所、撤収の準備どころか、こちらに向かってカチ込みを入れるための準備をしていたのです。」
 「今襲われたら、折角完成させたマシンが破壊されてしまう」
 「早くここを抜けて試合会場へ向かいましょう。向こうも、試合会場内で暴れるなんて事は出来ないでしょうから、ここよりずっと安全です」
 
 肉人形1号と、僕と、ムツミは完成したてのロボット2機を抱えて、裏口から飛び出した。
ここは試合会場である国立展示場の一区画に設けられた出場学校用の臨時ラボなので、試合会場までは大した距離は無いが、逆に範囲が狭い分、捜索されやすいという危険性もある。
僕らが出場するのは第二試合だから、まだ2時間以上も試合まで時間が有るが、仮眠を取ろうと残した時間がこれでは台無しだ。

 「お二人とも、気を付けて下さい。彼らは戦闘のプロです。どこに潜んでいるか解りません」

 『3回戦第1試合……』会場が近付いてきた。今朝の第一試合が間もなく開始されるようで、アナウンスの音が聞こえる。もう、会場までは直線距離にして30メートルも無い。何とか成ったかなと思った瞬間だった……

 「わっ、ぱねえ、やっぱカッコいい!」
 出場校の学生や、係員用の会場への通用口の前にイカした奴が仁王立ち!
そう、昨日戦ったゲリラ高校の合体ロボットだ!

 「あーら皆さん、お早いこと。」
 「お前は、山口県立ゲリラ学園、大佐の岩国國子!」
 「ふふふ、もう、事情はそこの裏切り者から聞いてるでしょうから、前口上無しにやらせてもらうわ! あと、他の入り口の回り込んでも無駄よ、会場の全ての出入口に私の部下に監視させてるから!」
 
ドドン! ドドン!
 「きゃあ」合体ロボットからの砲撃! 直撃はしなくても十二分に怖いし、対人用ではないが直撃したら、肉は抉れないにしろ火傷や骨折も有りえる威力だ。
 「こんな事して、バレないとでも思っているのかよ!」
 「今、行われている試合の内容知ってる? 前回優勝校の群馬代表の試合中なの。あの高校は派手な戦いするからね、外野で多少ドンパチした所で、誰も気付かないわよ!」
 
 敵の合体ロボットの身長は約120センチ強、8門の対サッカーロボ用榴弾砲を備える。
よく鍛えられたフル装備の兵士で有れば問題ないかもしれないが、戦闘の素人で、しかも何の装備の無い僕らが太刀打ち出来る相手ではない……いや、戦闘のプロは此方にもいた。
「ここは私に任せて下さい、お二人は下がって!」
 肉人形1号は懐から四本のペニスを取りだした。あれは昨日の戦いで壊されたマシンのペニス!
 「すみません、こんな事もあろうかと、動きそうな物だけお借りさせて頂きました。」

「ペニスモーク!」肉人形一号がペニス内の発煙筒を起動させ、ロボットでは無く操縦者である岩国國子に投げつけた。なるほど、試合の様にロボットの視界を潰す方法では、攻撃する時に自らも煙の中に入らなければならない。ペニスコープの様な、高性能センサーや、特殊なスコープが有れば、煙の中でも一方的に攻撃できるが、今の彼女にはそういった装備は無い。
しかし、これは試合では無い、元々ルール無用の戦いなのだ。操縦者に発煙筒を投げつけても失格には成らないし、所詮ロボットはリモコンで誰かが動かしてくればければ唯の鉄の塊。
「やるじゃないか、肉人形1号!」

「ペニスパイク!」ペニス型の突出式ブレードで肉人形1号がとどめを刺そうとした時だった。合体ロボットが高速回転、そして一斉砲撃!
「視界が塞がれているのであれば、360度全方向に攻撃をすれば良いだけの事ぉおおおおおおっ!」
下手な鉄砲数撃ちゃ何とやら、確かに命中率は悪い。しかし120センチ程度のロボットにとって、接近した自分より一回り大きい人間など大き過ぎる。当てやすすぎる的。少なく見積もっても全砲弾の2割程度が彼女に直撃する事に成る。

ズドドドドドド!

長いっ、長過ぎる砲撃! ありったけの砲弾を搭載した8門の砲塔が、実に30秒程、火を吹き続ける。その間常に対サッカーロボ用榴弾が容赦なく肉人形を襲い炸裂しているのだ。
彼女とロボットの周りには爆発による煙がもうもうと立ち、それとは逆に時間経過によって、ペニスモークからの煙から、岩国國子は解放されつつある。

 「ふふふ、もう終わりね・・・八割方は撃ち切ってしまったけど……あとの弱っちい二人を倒す分には、2割も残っていれば十分だしね、ふふふ」
 岩国國子が不敵な笑みを浮かべて煙の中からこちらに向かってくる。合体ロボットを覆っていた硝煙も少しづつ薄まってきている。操縦者とロボット両方の視界がクリアに成った時、ロボットから僕らへの砲撃が始まる、もう絶対絶命か……
 「うう、何て事、こんな所で……」
 ムツミがこの状況への打開策を見つける事を諦め、ロボットを抱えるようにしてうずくまった時だった。
 
 「ペニスパーク……」ほぼ、煙が消え、上半身が露わに成ったロボットが閃光に包まれる。よく見ると、ロボットの胴体関節に電気ムチであるペニスパイダーが深く絡みつき、外装を一部破っている所さえある。
これは、僕らが試合でも作戦で使用したロボットの回転にひも状の物を巻き込ませる技だ。昨日のペニスパイダーの糸は細く、合体ロボに対しては、絡みつき動きを止める程度であったが、より硬質な素材で作られた電気ムチであるペニスパイダーであれば、さらにきつく、深く巻き付き、ロボットの表皮を破り内部に食い込む事も可能。
しかも、電気ムチであるペニスパイダーは超電撃肉棒ほどではないが、強力な電気を流す事が出来る。大体のロボットが外装に対電気攻撃用の塗料などを塗っているが、内部が露出した今の合体ロボットには100パーセントの伝導率で電気攻撃を通す事が出来るのだ!
 
 合体ロボットが光り輝く。各ブロックに分かれ、急所を分散する事で、非常にタフな合体ロボではあるが、合体しているという事は、電気系統や金属製の関節が少なからず接触し繋がっているという事だ。一か所に強力な電気を流す事が出来れば、それを伝わって、ロボットの全ての回路を焼き切る事も可能! ロボットの、この輝きはロボットの断末魔、そして……

ドカァアアアン!

 内部の弾薬付近の回路が過電圧で発熱し、残されていた榴弾がロボット内で爆発したのだ。
その爆風は、僕やムツミ、岩国國子の所にまで強風としてやってくる。いや、やってきたのは、風だけでは無い、黒い何か塊の様な物が岩国國子向かってぶつかり、彼女は床に尻もちをついた。

 流石にトレーニングを受けているとはいえ、岩国國子も又、かなりお腹の大きく成った妊婦である。下手に倒れてはいけないと、お腹に無理がかからないように受身で倒れこんだが、倒れた地面がおかしな事に成っている。どんなにもがいても床がヌルヌルの何かに覆われて、立ちあがる事が出来ないのだ。
 まだ、妊婦でなければ、何とか成ったかもしれない。しかしお腹の大きい体では、このローション地獄から単独で抜け出す事など不可能。彼女は動きを封じられ、しばらくは悪態をつきながらもがいていたが、そのうち疲れ、諦めて蹲ってしまった。

 「これはペニスライムのローションだ……」
 岩国國子の周辺にはおびただしい量のローションが撒かれている……いや、ローションの道の様なものが爆散した合体ロボットの有った位置から続いている。
 「うっ、うっ」
 岩国國子にぶつかった、黒い塊から肉人形1号の声がした。
 「あっ、あなた、大丈夫なの……」
 「大丈夫です……すすで汚れてはいますが、直撃は避けられました……」
 肉人形1号は回転砲撃が来る事に気付くと、ブレードによる攻撃を即座に中止し、ペニスネイクを合体ロボットの回転を利用し撒き付けると同時に、ペニスライムのローションを全身に浴びる事で榴弾が自分の体に接触した際、ローションで滑らせ、弾頭が爆発しないよう対策を取ったのだ。しかし、それでは直撃を避けられても、弾がぶつかった衝撃や弾道をずらし、地面に落した榴弾の爆発による熱からは逃れる事は出来ない。彼女はその地獄の苦しみを30秒間も耐え続けたのだ。
この時点で彼女の体は、もはや自分で立って歩ける状態では無かった。しかし、彼女は諦めなかった。操縦者であり、自分の元上官である岩国國子を倒さなければこの戦いは終わらないと。
だから、砲撃が終り、ムチで合体ロボに電撃をお見舞いした時、必要以上に長く電気を通したのだ。
ただ単に、ロボットを止める為だけで有れば、一瞬だけ電気を通せばそれで主要な回路がショートし終わりである。しかし、火器を誘爆させるために彼女は電気を流し続けた。
結果、ロボットが爆発し、その爆風を利用し、ローションで滑る事で、岩国國子にスライディングをくらわせると同時に残りのローションを浴びせ、動きを封じる事に彼女は成功したのだ。

 山口県立ゲリラ学園、大佐、岩国國子は一人の名もなき兵士に完全敗北したのだ。

 「みっ、皆さんは……私が自首すると申し出た時ぃ……私のことぉ、仲間だと言ってくれましたぁ……ゲホゲホ……それに、どうせ一度自爆装置によって失っていたはずの命ぃいい~」
あっ、まあ、そんな事、言ったかも知れないけれど……メイ子は本気っぽかったけど、僕は空気に合わせただけだし、ムツミも何処まで本音だったのか解ったもんじゃないが……

でも、肉人形1号は嬉しかったのかもしれない。彼女がゲリラ学園でどんな扱いを受けていたかは知らないし、ムツミにどんな調教を施されたのかも解らない、でも、これくらいの事で、必死に頑張ろうって思える人もいるんだね。僕には無理だけど、みんな違ってみんな良いよね。
「大丈夫、もうしゃべらなくていいわ。私たちはちゃんと試合会場に入れる。入ったからには絶対に勝つ。だから安心しなさい。」
間もなく、爆発音を聞きつけた係員がやってきた、岩国國子は事情聴取の為、警察に送られ、肉人形1号は救急車で運ばれていった。

 ※

 三回戦、第一試合の戦いは激しく、確かに最初は会場の誰も我々の場外乱闘に気付かなかった。岩国國子の言ったとおりだ。
しかし、彼女が行動不能に成った後、比較的早く係員が僕らの元にやってきた所を見ると、少なくとも最後のロボットの爆発音は場内の人々にも聞こえていた事に成る。
そこから計算するに、肉人形1号が第一試合開始の放送のすぐ後、合体ロボットと戦闘状態に成った事を考慮すれば、多く見積もっても、第一試合は1分程度で終わっていたという事に成る。

そして、もし、ぼくらがこの試合に勝てたとしても、次戦う相手が即ち、試合相手を一分足らずで屠る群馬代表で有る事は、僕の心に不安の影を落とす。
けれども、折角、肉人形1号が作ってくれたチャンスだ。この戦いは負けるわけにはいかない。気分を切り替えねば。

『3回戦第2試合、白金大学付属高等学校と、千葉県立十余二高校の対戦です。両校代表前へ!』

 「白金大学付属高等学校、部長の金丸銀子です。お互い全力を尽くし、良い試合にしましょう」
「千葉県立十余二高校、副部長の六実睦です。全く同感です、お互いに頑張りましょう。」

 ロボットを並べる作業に入るが、2機だけなのですぐに終わる。相手はやはり8機。普通は勝てない戦いだ。でも……

 『それでは試合を開始します! 3・2・1・GO!』

 僕の8号機が観客も、敵チームも気付かないうちに、敵側ロボットの並んでいる相手ゴールの前に陣取った。
 「ペニス展開、コンデンサー出力最大、マルチプルペニス発動!」
 ロボットの後方に折り畳まれていた8本の超電撃肉棒が両側面に四本づつ展開されると同時に周囲は光の中に消えた。



次回に続く
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加糖コージ…中学二年生
きのこ汁子…ドール愛好家
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