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漫画紹介 『オールラウンダー廻』

 ご無沙汰してます、善浪です。
 最近、小説の挿絵がわりにってことでプラモを作って写真撮ってるんですが、これがまた面白くなってきてしまいまして、段々歯止めが利かなくなりそうで怖いです。今は素組みで満足しているけどそのうち……。
 まあ金も時間もそれほどないんで今のところ大丈夫かなとは思うんですけど、日常生活に支障をきたしそうになった時は誰か止めて下さい。

 まあそれはともかく、今回もおススメ漫画の話です。

オールラウンダー廻(4) (イブニングKC)オールラウンダー廻(4) (イブニングKC)
(2010/08/23)
遠藤 浩輝

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 今回は『オールラウンダー廻』です。
 主人公はごく普通の高校生、高柳廻。過去に空手を習っていた経験から修斗(総合格闘技)をやっています。
 とはいっても、特に目標があるわけではありません。

「僕が小さい頃から世の中にはモノがあふれていて
 そのくせ『不況だ不況だ』と言っていた
 で いつまでたっても『不況』でたまに『恐慌』とか来て
 日本人はこの先もずっと『不安』なんだろう
 気付くと僕は高校生で とーぜん将来どう生きればいいかなんて 全然わかんねーっス
 こんなご時世ではとにかく打ち込める物を持っとかないとヤバいので
 格闘技のジムに通ってます」

 という、ごくまともな高校生です。格闘技の他に、学校では美術部に所属してるくらいです。彼には、格闘技をやる「べき」モチベーションは存在しません。
 「とにかく打ち込める物をもっとかないとヤバい」というのも、具体的な危機感ではない。「とりあえず」不安を誤魔化すために格闘技をやっているのです。
 だから最初のうちは、負けても悔しがらない。

 廻と対照的なのが廻の幼馴染でライバル(なんて言えないほど実力に差があるんですけど)、山吹木喬です。
 彼は父親がヤクザに殺され、その復讐の為に強くなろうとした男で、廻と違って格闘技をやるモチベーションのある人間です。だから強い。左のハイキックと祖父から習った空手の技でアマチュアでは負けなし。

 「なんとなく」格闘技をやっている廻と、修羅の道に踏み込もうと強さを求める喬。
 この二人の対比が物語の軸になります。
 
 さて、「とりあえず」「なんとなく」格闘技をやっていた廻ですが、初戦で喬に負け、二戦目も瞬殺されると流石にこのままではいけないと思い始めます。ジムの仲間たちにも触発され、徐々に「勝つ」ということにこだわり出すのです。
 そして、そこからようやく彼の「才能」が開花し始めます。
 
 廻は、はっきり言ってそれほど才能に溢れた選手ではありません。筋力もまだまだ、飲み込みもいいんだか悪いんだかわからず、これといって個性があるわけでもありません。
 しかし、彼は試合中、相手の技を見よう見まねでコピー出来るという特技があったのです。
 と聞くと、いかにも主人公らしい「強い」特技のように思われるかもしれませんが、実際はそうでもない。
 試合は時間が短く、相手の技を見ているうちに負けてしまう可能性も大きいし、フィジカルもパワーもコピーは出来ないし、そもそもこの特技は相手より「後手」に回ることが前提だからです。
 それでも、彼はなんとかそれで戦い、初勝利を得ます。
 
 廻には「得意技」とか「必殺技」がありません。「こういうタイプの選手」ということも言うことができません。傍から見てる分には、本当に凡庸以下の選手なのです。
 それが彼の最大の欠点なのですが、同時に、強みにもなっていると僕は思います。
 
 重要なのは、彼がどういう方法であれ「当座を凌いで」戦い抜いたということなのです。
 どういう方法であれ、というよりは「あらゆる手段を講じて」でしょうか。
 その時その場にある材料を用いて、創意工夫を凝らし、「取り敢えず」敵の攻撃を凌ぎながら最後まで諦めずに戦う。強いて言うならそれが彼のファイティング・スタイルです。
 それは、「必殺技」のある選手には無い戦い方です。
 廻には「必殺技」がない、つまり「勝ちパターン」がありません。これはもうどうしようもない。彼は持っているものしか持っていない。足りないものだらけです。
 だから彼が勝とうとするならば、足りないものは「現場」で見付けて補うしかない。その結果、どういう状況下でも勝ちを目指せる選手が誕生しました。
 それが、この作品のタイトルが『オールラウンダー』であるという所以です。

 「必殺技」や「得意技」がある選手、「こういうタイプ」というのが決まっている選手が試合中目指すものは「いかにして自分の必殺技を有効に使うか」です。その目論見が成功すれば勝ち、失敗すれば負け。それは勝てるシチュエーションと負けるシチュエーションがはっきりしてるということです。自分にマッチした状況でなら最大のパフォーマンスを発揮できるけれど、そうでなければパフォーマンスは低下する。
 しかし廻にはそれがない。だから彼は、心が折れたり、諦めたりしない限り、どうにか戦い続けることができる。

 重要なのは、これは彼の人生のスタンスにも合致しているという点です。
 彼は総合格闘技を「とにかく打ち込める物を持っとかないとヤバい」という理由で始めたのでした。
 彼は彼なりにこの国で生き続けていくことに(漠然とでも)危機感を感じた結果、今自分の持っているもの、いわばあり合せのものでどうにかしようとする。

 廻のおばあちゃんの口癖は「どこに行ってもやっていける人間におなり」でした。
 実はこれがこの漫画の一番の主題だと私は思う。
 生きていくためには、「生きていく」ことに関する選択肢は多い方がいい。
 「特定のある状況でなら最大の能力を発揮できる」人間よりも、「最大の能力ではないかもしれないけど、あらゆる状況をとにかく凌げる」人間の方が生き延びる可能性は高い。
 そして現代社会においては、いや、社会一般においては、そういう「オールラウンダ―」の方が人間として「生きやすい」。
 おそらく、そういう人間の方が生きることを諦めないでいられる。
 そういうことです。

 さて、長々書いて参りましたが、この漫画、アクションシーンもクオリティが高いです。
 特に組み技の時のリアルさはそのまま格闘技の教本になりそうなレベル。
 ユーモアに満ちた会話もいいですね。
 おススメ。
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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

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