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漫画紹介『シュトヘル』 生きることと文字

 どうも、一週間と一日ぶりです。(昨日は普通にサボりました)。
 今日も漫画のご紹介。

 
シュトヘル 3 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)シュトヘル 3 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
(2010/07/30)
伊藤 悠

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 漫画版『皇国の守護者』で一躍ヒットを飛ばした伊藤悠の描く歴史(ファンタジー)絵巻。
 
 舞台は13世紀初頭の西夏。モンゴル軍の侵攻にさらされ、国家も文化も破壊しつくされつつあるこの国で、モンゴル軍に「シュトヘル(悪霊)」と呼ばれ恐れられる女戦士と、西夏の文化を愛するモンゴルの皇子ユルール(チンギス・ハンの血を引いている)は出会う、というのがおおまかなストーリー。
 
 冒頭、現代の日本で普通に生きていた高校生の須藤君(シュトヘルの生まれ変わり?)と鈴木さん(ユルールの生まれ変わり?)が偶然出会うことで、突如舞台が13世紀初頭のモンゴルに飛ぶ。
 死んだはずのシュトヘルに須藤君が乗り移り(ユルールは「生まれ直した」と言う)、ユルールがこれまでの顛末を語り始め、ようやくストーリーのプロローグがスタートするのだ。
 そして3巻でようやくユルールの語りが終わり、本編がスタートする。

 「生まれ直し」設定の意味も気になるが、合戦シーンの臨場感は相変わらず素晴らしく、かなり面白い。

 そして僕が何より印象に残ったのは「文字」というものの重さについて。
 ユルールは養母が西夏人だったこともあって文字について特別な思いを抱いているんだけど、そもそも文字という文化を持たないモンゴル人はそれを理解できない。
 ユルールと彼の兄との会話。

「文字か。そんな模様がなぜ いとしい?」
「兄さん。文字は生き物みたいだ。
 記した人の思い 願いを伝えようとする。
 その人が死んでも 文字は、託された願いを抱きしめているようで…
 生き物みたいだ。焼かれるとつらい」
「そんなものに人を費やすからたやすく攻め入られる」

 人はいずれ死ぬ。死んだ後、その人を覚えている人間もいなくなれば、その人間が生きた痕跡は世界から全くなくなる。そうして人間は消えていく。それはあまりにも寂しすぎる。
 だから人間は画や文字を作り出したのだろう。人間が生きた証を、誰かに伝えようとする。そうでなければ、どうして人間は生きるのだろう。
 そこには誰かと繋がり続けようとする人間の意志がある。だからユルールは文字がいとおしいのだ。

 一方ユルールの兄、ハラバルはそれが理解できない。人間が死んで、いずれ消えていくのは、彼(ら)にとっては当たり前のことだからだ。
 寂しかろうがなんだろうが、生きて死ぬのが人間だと思っている。そうして延々と血を繋いでいく。彼らの暮らす草原では、それこそが人間の営みなのだ。

 繊細なユルールはそうした草原の生活がどうしても馴染めない。
 西夏の何もかもを破壊しつくそうとするモンゴル軍に抗って、せめて西夏文字だけでも救い出そうと行動を開始する。
 たとえその結果、何を犠牲にすることなっても。

 でもそうやって文字を守るために戦うシュトヘルとユルールの二人とも、自分自身の名に文字を持たないというのもなかなかに皮肉だよなぁ(シュトヘルはモンゴル人に付けられたあだ名。転生したシュトヘル=須藤君はそれまでのことを全く憶えていないので彼女の本名は不明のまま。ユルールも「祝福」という意味のモンゴル語なので、二人とも自分の名前に文字を当てることが出来ない)。
 ユルールの兄で、弟を愛しながらも弟の愛するものを滅ぼそうとする生粋の武人・ハラバルも格好良い。
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テーマ : 漫画の感想
ジャンル : アニメ・コミック

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