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「家族」と「疑似家族」 (藤こよみ『このこここのこ』紹介)

 いやどうも御無沙汰してます、善浪です。
 2週間ぶりになりますが、先週は旅行帰りでして、まあお休みをね、頂いたというか、素で忘れてたというかね、ええ。

 さて、今日はこちらの漫画を紹介いたします。

このこここのこ 2 (IDコミックス REXコミックス)このこここのこ 2 (IDコミックス REXコミックス)
(2010/05/08)
藤 こよみ

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 藤こよみさんの「このこここのこ」です。現在2巻まで出てまして、3巻は11月下旬予定。

 主人公は、幼いころに母を亡くし、父・姉と暮らしていた主人公・苑田遥斗君。
 しかしある日突然父親が再婚。母親と兄、同い年の姉、妹と同居することになるのですが、再婚早々両親は長期の新婚旅行に。苑田家は家族になりたての兄弟5人での生活を余儀なくされるのですが……。
 
 まず初めに言っておきますが、僕は「疑似家族」ものに弱いです。
 本来は家族ではない、他人同士が、なんとか「家族」として一所懸命に共に生きていこうとする様に、わりと無条件にグッときてしまう。
 何故か。
 実はこの「疑似家族」という構造こそが、偽物であるがゆえに、「家族」というものの奇跡的なあり様を効果的に描いているからではないかと僕は思います。

 我々は、生まれた瞬間に「家族」という関係性に組み込まれています。そこから逃れることは(基本的には)できません。赤ん坊の時から「生き延びるためにはこの関係性に関係し続けなければならない」と本能的に判断を下している。
 だから普通、人はこの「家族」という関係の絶対性に疑問を持ちません。社会科の授業でも「家族は社会を構成する最小単位」だと教わります。だから、この関係性を崩すことはタブーです。「親殺し」「子殺し」は殺人の中でも最上級の倫理侵犯とされています。
 
 ですが、この関係性は、実のところごく簡単に崩れます。
 世界では3秒に1組のカップルが離婚していることは有名な話ですし、前述の親殺し、子殺しも毎日のように起こっている。そこまで行かなくても、家庭がギスギスしていたり、そのせいで家に帰りたくないなぁ、と思っている人間などごまんといるのです。
 しかしこれは、皆が思っているほど異常な話ではない。
 
 人間は、「家族」という関係を維持するために、自分が思っているよりも多大な労力を支払っています。
 家族を維持するために、育児に疲れて赤ん坊に殺意を抱いてしまっても「一時の気の迷い」と我慢します。年々魅力的でなくなっていく配偶者とも、五月蠅いだけの配偶者の親とも付き合います。家族だけでなく、家族を取り巻く環境、ご近所とか会社でも良好な人間関係を築こうと努力します。
 それは間違いなくストレスです。良好な家族関係は、そのストレスを極力ストレスと感じないように調整が施されている関係と言ってもいい。
 「家族」というのは、こういった、人間関係を構成する各人の不断の努力によって、ほとんど奇跡的に成り立っている。
 それが崩れる時には、特別な事件などいりません。ただ家族の誰かが、その努力を面倒くさがって放棄するだけで、容易く崩壊してしまう。だからそういった事態は、全然異常な状況ではない。むしろ「家族」が成立していることの方が、尋常ではない(文字通り『有難い』)事態なのです。

 さて、もしもその家族が血縁関係で結ばれているのなら、その努力も人類学的に保証されているのですが、「疑似家族」の場合はそうはいかない。
 「疑似家族」は生まれた時から一緒にいるわけではないし、一緒に生活しなければならない理由も希薄です。
 しかし彼らは、何とかして「共に生きよう」と努力します。色々なことに目をつぶりながら、どうにかして「家族」であろうとする。
 彼らにも諸々事情があるからなのですが、その努力は、血縁関係にないからこそより具体的な形で表れるのです。

 この漫画のヒロインである千紘(表紙の娘です)も、そんな人間の一人です。
 彼女は他人の前では心やさしく気も遣える優等生で通しているのですが、素の彼女は毒舌で辛辣で凶暴。そのギャップも可愛らしいのですが、仮面を被りながら生活しているのはまさに「家族」を維持し続ける為の、彼女なりの努力に他ならない。

 本来なら縁もゆかりもない人間同士の、細い細い絆。それを何とか切らないように、ギリギリの努力を続けていく。彼らの努力には心打たれるものがありますけど、それは本来、どの家族でも同様のはずなのです。
 しかし普通に生活していると、容易くそのことを忘れてしまう。
 大事なことなのでもう一度言いますが、「家族」というのは本当に「有難い」(文字通り、「存在し難い」という意味で)存在なのです。
 『このこここのこ』では、その関係性の変化が実に丁寧に描かれています。家族以外のキャラクターも面白いですし、おススメですぜ。
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テーマ : 漫画の感想
ジャンル : アニメ・コミック

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