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僕らの肉じゃが論争

 あのー、皆さん、肉じゃが、食べたことありますよね? 肉じゃが。
 ほら、牛肉やら豚肉やらをですね、じゃがいもやにんじん、玉ねぎと一緒に、醤油、砂糖、みりんで煮込んだ日本人の定番料理ですよ。

 その肉じゃがの起源はご存知ですか?
 実は肉じゃがが初めて作られたのは明治時代なんです。

 当時、日本海軍に東郷平八郎という提督がいました。
 日清・日露戦争で大活躍した提督なんですが、この人、昔イギリスのポーツマスに留学していたことがあって、その時口にしたビーフシチューが大好物だったそうなんです。

 当然、帰国してからも食べたい! と。
 何なら船の上(職場)で食べたい! となりまして、自分の艦の料理長に頼んだらしいんですね。

「ビーフシチュー作って?」
 って。

 ただ料理長はポッカーンですよ。
 何しろ艦にはワインもデミグラスソースも無い上に、料理長はビーフシチューという料理を知らなかったのですから。
 
(無茶言うじゃねぇよ東郷このヤロウ!)
 料理長は叫びました。東郷提督の前なので心の中で。
「えー、びーふし…えー、ね! 大丈夫っす! 無問題っす! ただまー、あの、エゲレスの作り方が日本のと違ってるかもしれないんで、どんなもんだったか教えてもらえませんかねー」
「あー、そうだな。牛肉をだな」
「ですよねー! びーふっつーくらいですもんねー! 牛使わないで何使うんだって話っすよねー!」
「あと、野菜はじゃがいも、にんじん、玉ねぎとかだったな」
「あー、いっすねー、カレーも作れそうだ!」
「あとスープは黒かったな」
「く…黒っすか(ごくり)、というか汁ものだったのか……」
「黒というか、茶色だけど。要は煮込みだな」
「なーる! いやーエゲレスも日本も大して変わりませんな! ガッハッハッハ! まーかして下さい! 大船に乗ったつもりで! 海軍だけに!」

 こうして料理長は颯爽と艦のキッチンに籠るのでした。
 ちなみにこの当時、ビーフシチューもその変形であったハヤシライスも洋食屋さんでは一般的に食べられていました。この料理長だけ何故か知らなかったのです。
 ですから、この視点で料理長が「びーふしちゅーって何だよ!」と誰かに教えを乞うていれば、何も問題は無かったのです。東郷さんは大好きなビーフシチューを食べられていたはずだったのです。
 ところがこの料理長、無駄にチャレンジャブルな男でした。何を思ったか東郷さんの話を聞いただけで、完全に自分流アレンジで何とかしよう、びーふなんちゃらを俺が作ってやろう! と思ってしまったのです。

 そして今か今かと大好物を待ちわびる東郷さんの前に、戦い切った顔の料理長が運んできたのが、そう、我々が普段口にするあの“肉じゃが”だったのです。

 当然東郷さんプッツーンですよ!
「何つくっとるんじゃゴラァ! どこがシチューなんじゃゴラァ!」
 自分が無茶を言ったのがそもそもの原因だったのですが、とにかく怒り狂います。
「違いますぅ! これが日本風のびーふしちなんとか何ですぅ!」
 料理長も開き直ります。
「いいよ食べるよ! 食べるけどね! 食べるけどこんなもんシチューじゃないから! 絶対旨いわけないから! 絶対不味いから! もう口に入れた瞬間吐(パク)……美味いやん……!」

 これが肉じゃがの発祥であると言われています。

 さて、ここからが本題なのですが、実はこの肉じゃが、発祥の地がどこだったかで論争が巻き起こっているのです。しかも未だに決着はついていません。

 一つ目は京都府舞鶴市。1995年に「発祥の地宣言」をしました。
 根拠は、舞鶴が東郷さんが初めて司令長官に就任した地であり、現存する最古の肉じゃがのレシピが舞鶴鎮守府所属艦艇で炊烹員をしていた故人から舞鶴総監部に寄贈されたものであるからだそうです。

 舞鶴に遅れること3年後、広島県呉市も「発祥の地宣言?」をしました。「?」は舞鶴に対する配慮だそうです。
 呉の根拠としては、舞鶴赴任より10年も前に参謀長として呉に赴任しているからというもの。

 一見すると舞鶴のほうが根拠がしっかりしているように見え、呉の方は舞鶴が肉じゃが発祥の地で人山当てたもんだからその御相伴に預かろう的な思惑で「宣言?」したようにも思えます。
 しかし肉じゃがのレシピも本当に舞鶴で書かれたものかの確証がなく、結論は出ないまま、現在に至るわけです。

 さて、この事実を知った時の私の正直な気持ちは、

「どーーーーでもいいわんなもん!」

 でした。
 
 だってですね、肉じゃがが誕生したのは、東郷さんの我がままと、料理長の無駄なチャレンジの結果だったわけじゃないですか。偶然の産物だったわけですよ。別に舞鶴でなければ、呉でなければならなかった理由は特にないのです。
 「肉じゃが発祥の地が何処か?」という問題は、畢竟「東郷さんがわがままを言い、料理長が無駄なチャレンジに挑んだのは何処の港だったか?」という問題です。
 東郷さんが「ビーフシチュー食いたーい!」 と駄々をこね、料理長が「ほんなら作ったるはボケェ!」と無謀極まるチャレンジに挑んだ、それがたまたま舞鶴だったか呉だったか、或いは別のどこかだったのか、そんなことはどうでもい問題だと思うのです。別に肉じゃがが生まれるその事件が起きるのは何処の港でも構わなかったはずです。
 舞鶴と呉は、ごくたまたま、肉じゃがが発生した瞬間に東郷さんと料理長がそこにいた(かもしれない)だけで、土地自体が肉じゃがの誕生に何らかの関与をしたわけではありません。肉じゃがは材料的にも、特別地元の名産を使うものでもありませんしね。

 現在、私のような「どっちでもいいじゃねぇか!」という部外者の声が大きかったのか、両市とも「舞鶴、呉の両方とも発祥の地である」ということにしているそうです。
 まあ要は、どっちの市も「肉じゃがで儲けられればいい」ぐらいに考えているのでしょうから、この論争自体がむしろ望むところなんでしょう。こじれている間は、少なくとも世間の耳目を集められますからね。

 というわけで、どっちが正しいかで揉めていたとしても第三者にはどうでもいいのでその揉めている時間を美味しい肉じゃが作ることに当てたらいいじゃない! という話でした。
 
 え…? 何? 日本海…? 東海…? ……え、ゴメン、よく聞こえないんだけど……。
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