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『政界の雄達』 第一話 その2

前書いたやつの続きです。政治小説です。

「第一話、雄達の根城」

其の2

本会議が終わった。僕は大臣達の醸し出す違和感を探るため、先輩議員の挨拶回りに同行させてもらう事にした。我々の政党は出来たばかりではあるが、草の根の市民活動から出発したこともあり、そこそこの知名度、議員を抱える事も出来た為、数度当選している無所属の議員から協力を申し出されたのだ。

「これから出かける所は、それこそ魔の巣だからな、気を付けた方がいい、特に下半身には・・・」無所属ではあるものの、地元地域で絶大的な支持を受け、当選を続けている山中議員はそういった。「下半身って・・・ハニートラップとか本当に有るんですか?結構外国では要人が美人局にあって失脚とか陰謀論めいた噂が流れますが、我が国でそんなこと・・・」

途中まで和やかなムードで歩いていた山中と僕だったが、与党のテリトリーに侵入した当たりから彼の表情がみるみるキツイものに成る。特に行政府の中心である各省庁大臣達の詰め所が近づくと、明らかに警戒の色を隠さない。そこまで此処は恐ろしい所なのだろうか?

「ごきげんよう山中議員、そろそろ貴方もベテランなのですから、与党に協力して行政に関わってみませんか?」突如現れた美青年が山中の肩に腕を回し、耳元近くで僕にも聞こえるようにつぶやいた。僕と山中はそう離れて歩いている訳ではないし、近くに何者かが来れば解りそうなものだが、その青年は廊下の地形や、僕等の動きに合わせてさりげなく近づき田中に纏わり付いたのだ。

「やめろ、やめろ!」山中は、青い顔をして全力で青年を引きはがした。「お前らと付き合うとろくな事が無い!さっさといくぞ!」山中はそのまま走りだしてしまう。あまりにも唐突な出来事だったので、僕はタイミングを逸し、彼とはぐれてしまった。建物の中は迷路のように成っており山中を探すため移動すれば移動するほど、奥へ奥へと迷い込む、いや、むしろ人を迷わせる為に設計したのではと思うほどに複雑怪奇な間取りが僕を待ちうける。

もう、どうすればいいやら、僕が困り果てていると不意に知った顔が二つ視線の隅に走る。確かにどちらも僕にとっては知った顔だが、一人はテレビの中で、一人は嘗て実際に何度も顔を合わせた人間だ。しかし自分の知人とテレビの中の有名人が親しそうにしているというのは何とも不思議な、それでいて嬉しい気分である。本来ならばすぐに二人に声を掛けて知人の方に自分を紹介してもらおうとする所だが、今回はそんな気楽に声を掛けられる相手では無い。

何と言っても、テレビの中でよく見かける方の人物は、この国の長で有る内閣総理大臣なのである。一介の新人議員が軽く声をかけて良い相手とは思えない。いや、こちらも議員で有るのだから、遠慮せずに議論を引っ掛けても本来は良いのかもしれないが、この国の政治はそこまで風とおしは良く無いし、そもそも僕自身に其処までの心の準備が出来ていない。

しかし、それにしても総理の様子がおかしい。いや、おかしいと言ってしまうのは失礼かもしれない。ただ、僕等国民は彼を普段テレビの中でしか見かけないし、その中で目にする彼は、記者達に取り囲まれたり、政策の原稿などを読んでいる真剣な表情の彼である。

けれども今の目の前のは、そんな僕等のイメージする彼では無い。まるで少女漫画に出てくる女の子のように目を輝かせて、背景に花が咲き誇らんばかりの生き生きと明るい表情をしているのだ。子供や美人女性がそんな表情をするのであれば、見ている僕も心躍るかもしれないが、今、眼前でその輝きを放っているのが60代のオッサンで有るわけだから、目の毒としか言いようがない。

僕は気持ちが悪いのを我慢して彼等を追った。別に総理にお目通りがしたくて居場所を突き止めたかったわけでは無い。そういう事がしたければちゃんとした手続きを踏めば良いだけの事だ。そう、僕が彼等を追った理由は総理と供に歩いていた顔見知りの男の事が気に成ったからだ。

大学時代、僕の話相手に成ってくれた、僕を今の道に勧めてくれた、僕の恩人であり親友。見間違えるわけがない。彼が今では官僚として総理と話せる立場に成っているのだ。「僕が政治で社会を、彼が官僚として行政を供に協力し改革出来れば・・・」僕が夢見た未来。彼は既に行政府の長と話せる立場に大成している。僕もまだまだ一年生だがやっと議員に成れた、僕の夢は叶いつつあるのだ。


続く。
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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