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世界珍味紀行 ~スカイフィッシュ編~


『世界珍味紀行 ~スカイフィッシュ編~』 



 さあ、今日はN県S町にやってきました。なんでもこちらは昔からスカイフィッシュ漁が盛んだそうで、あ、「漁」なんですかね、それとも「猟」なんですかね、まあどうでもいいか、とにかくですね、スカイフィッシュ獲りの達人がいて、この土地ならではのスカイフィッシュ料理があるとのことで……あ、お父さん! こちらでですね、スカイフィッシュが獲れるという話を聞きまして……え?! お父さんがそうなんですか? ……これは幸先がいいぞ。お父さん、もしかしてこれから……あ、やっぱり獲りに行くんですね。もし良かったらなんですけど、是非ですね、我々もご同行させて頂いて……あ、いいんですか!? ありがとうございます! それじゃあ早速参りましょう!


――旅先で出会ったのはスカイフィッシュ漁を営んでいる山崎さん。四十年以上も前からスカイフィッシュ漁で生計を立てているんだとか。いやいや、本当にラッキーでしたねぇ。


 えー、山崎さんに連れられて、山の中に入ってきたわけなんですが、おっと! 結構な急斜面を、歩きますね、お父さん? うわ、もうすいすい登って行きますね! もうあれですか? この辺りは庭みたいな……ああ、そうですか。


――山崎さんの後を追って、ようやく辿り着いた先には、山崎さんが事前に仕掛けてあったスカイフィッシュ用の罠が。


 これが罠なんですか。一見すると普通の、まあちょっと目の細かい網なんですが……ああ! 入ってます入ってます! うわ! すごい数入ってますね! すごい! 動いてますねー! うじゃうじゃと……なるほど、一度入ると出られないようになってるんですね。あ、でもお父さん、かなり大きいのもいますよ、三十センチくらいの……あーもうこれくらいは普通なんですね。


――すると山崎さん、おもむろに折り畳み式の虫取り網を取り出しました。頭上で軽く振ってみせると……。


 え、ちょっとお父さん、そんな簡単に捕まるわけが……あ! 入ってる! 入ってますよ! ほら、カメラさん! 写して! うわー! 流石ですねお父さん! スカイフィッシュって目にも止まらない速さで飛んでるものなのに、いとも簡単に……。なるほど、目で見る前に感じろと。これはもうお父さん、熟練の技ってやつですね!


――お父さんの驚愕の技に感心しながら、山を降りて、さあ、いよいよスカイフィッシュ料理の登場です!


 さて、山を降りまして、麓にある定食屋さんにやってまいりました。えーここはですね、お父さんの奥さんがやってるということで、早速ですね、先ほど獲ってきたばかりの、獲れたてぴちぴちのスカイフィッシュを調理して頂きたいと思います。お母さんはやっぱりこちらで長いんですか? あーなるほど、もう二十年。お嫁に来た当初はやっぱり戸惑いましたよね? うんうん、やっぱり。あ、でももう慣れたものですねー。見て下さい、もうパッパと手づかみで……手際がいいですねぇ! さあ、では一体どんな料理が出てくるのか? あちらで待つことにしましょうか。


――この定食『なかつがわ』は創業二十年。山崎さんの奥さんが、スカイフィッシュの美味しさを皆に知ってもらおうと始めたのだそう。その独特の料理が話題となり、今では地元の人のみならず、はるばる他県からやってくるお客さんも多く、お昼時は毎日満席になるのです。
……さあ、そうこうしているうちにいよいよお料理が出来上がったようですよ!


 待ってました! どんぶりが来ましたよ皆さん! どんな料理なんだろう? 全然想像がつきません! 
 ……おっ! これは、蓋を開けてみれば……かき揚げ丼ですね! これは意外でした。これは誰のアイデアなんですか? お母さん? へー……見た目はしらすのかき揚げみたいな、これがお母さん、スカイフィッシュですか。他には玉ねぎ、人参、大葉……これは普通の天丼と同じですね。
 さ、それでは頂きましょうか。……ん……美味い! これは美味しいですね! いや、ちょっとびっくりしました。意外な食感。衣はサクサクで中はもうふわっふわ! スカイフィッシュってこんなになるんですか。あの、何でしょうね、もっと後を引くような味なのかと思ってたんですけど、意外と淡白というか、白身の魚に近い感じですね。でも旨味がすごいあって……このタレはお母さん、自家製ですか? やっぱり! 合ってますよ、甘いタレがご飯にも沁みて…………いや美味い!


――スカイフィッシュのかき揚げが考案されたのは十五年ほど前。以来ずっと、この定食屋さんの看板メニューなのです。翅を切り取った3~5センチ大のスカイフィッシュを他の具材と共に衣に油の中へ。ある程度火が通ったら一旦油から上げて、さらに高温の油で二度揚げします。こうすることにより、衣のサクサク感とスカイフィッシュのフワフワ感が両立するのです。


 いやー、これはね、本当に美味しいですね。もう一杯行きたい。あれ、お母さん、そちらは……まさか、お刺身ですか?


――お店のご厚意で特別にスカイフィッシュのお刺身が出てきました。こちらは、定食屋さんのメニューにはない、いわゆる隠れメニュー。大きめのスカイフィッシュが獲れた時にしか出せないからだそうです。
 15センチほどの大きさのスカイフィッシュの翅を切り取り、皮を剥いでうすーく削いでいきます。もともとあまり身の部分の大きくないスカイフィッシュ、さらに新鮮なうちに捌かないと味が落ちるので、刺身にするのは料理人の腕が要求されるのです。


 わっ! これはまたかき揚げのとは全然違いますね。歯ごたえがコリッコリしてて、味の方はね、すごく上品。今まで食べたことない感じですね。白飯が欲しくなりますねー。あ、あります? じゃあこれに、お醤油をちょっと付けたスカイフィッシュを乗せて……ん~! 最っ高に合いますねー!


――この地方では、スカイフィッシュには滋養・強壮効果があると言い伝えられ、江戸時代末には一大産地として有名でした。しかし明治期に乱獲から数が激減し、スカイフィッシュ漁師達の数も次第に減っていったのです。今では、スカイフィッシュ漁を生業としているのは山崎さんを含めほんの数軒。この定食屋さんも、スカイフィッシュを獲る技術を絶やさないように、少しでもスカイフィッシュに興味を持ってもらえればという、山崎さん夫妻の願いが、込められているのです。


 いやもう本当に今日は美味しいスカイフィッシュをありがとうございました! 山の中に入った時は殺されるかと思いましたけど、いや、貴重な経験でした。お父さん、お母さん、末永くね、元気でスカイフィッシュの味を伝えていってほしいな!


――さあ、次は一体、どんな珍味が待っているんでしょうか? 次回は、ネス湖のネッシー漁に密着! 豪快にも程がある漁師飯に驚愕!? お楽しみに!!

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