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ペニスをめぐる冒険

たぶん年始に確定申告がめんどくさくて自暴自棄になりながら書いた小説なので、暗い話ですが、メイドさんや幼女が好きな人は読んでください。まあ、後半は蛇足です。


ペニスをめぐる冒険

第一章『人類の第一歩』
第二章『現代の怪』
第三章『植民地主義』
第四章『生殖民地主義』



第一章 『人類の第一歩』

彼が恐れるものは決まって分かりづらい代物だ。
この日もそうだった。その女(女というには、まだ些か早熟だ。だから厳密には女ではない)は駅の階段付近にいた。JK(つまり女子高生)である。彼女はたぶん学校に行くふりをして、どこかでSEXでもしていたのだろう。JKは学校はもちろん、駅や路地裏でもSEXをする生き物なのだ。

JKという生き物は、かくもSEXが好きである。子供が覚えたての自転車で街中を夢中に走り回り、疲れ果て次の日には風邪でもひいてしまうように、彼女らは覚えたての自分の体で遊びまわり、やはりどこかで性病を貰うのだ。

男子高校生は言葉の上ではSEXが好きだが、感情的にはJKの方がよほどSEXが好きに違いない。彼は女子高に間違って入学してしまった男子だったから、そういう事だと理解している。近いから、自転車だけで通えるからといって女子高に男子が入学するのは良くないことだ。要は自転車は常に危険な乗り物という事。

彼は高校時代を思い出して、うんざりしている。もうその日は働く気など無くなっていた。だからもう取材には戻らずに家路に就くことに決めた。彼はフリーのライターだったため、そういう事も出来るのだ。

しかし、仕事上の制約が無くとも、物理上の制約はある。ホームに向かうためにはJKの横をすり抜けて、階段を昇らねばならない。JKはそわそわしている。たぶんまたSEXでもしたくなってきたのだろう。はた迷惑な話である。

男子高校生ならすぐにトイレに籠ってオナニーを始めるだろうに、JKは残念ながらオナニーよりSEXの方が好きなのだ。相手を探したがっているに違いない。

女子と男子の生態の話は置いといて、家に帰らない訳にもいかない。彼のテンションはもはや下がりすぎて家に帰って不貞寝するまでは回復することは無い。
援助交際がライフワークのおじさんが罠にかかるまで待つのはどうもしんどいので、仕方なく意を決し、彼はJKの隣をすり抜けると、案の定、JK特有の、少女と大人の女が混じった香りが彼の鼻腔を激しく突いた。

彼は失神した。何とも言えない解りづらい香りに彼の理性が耐えられなかったのだ。人生に無関心な『社会』人であれば、難なくやり過ごせたであろうし、直情的な不良であればJKをその場で犯して発散していたかもしれない。
しかし彼は理性的な人間だった。現代の人間の殆どは、指の先、鼻の先まで理性という名の神経が通っていないのが普通であり、それが半ば美徳とされているが、彼は残念なことにそういった現代人という障害を抱えずに生まれてきてしまった個体だったのだ。

哀れな彼を助け出す『社会』人は其処には誰一人も居なかった。



彼女はJKであった。JKは『社会』人ではない。なぜなら学生だからだ。

「この国、もしくはこの時代では『社会』人というやつは、即ち『会社』人だから大したこと無いんだよ。ただ、いつの時代も一番話が通じないのがそういう大したことない奴らだからみんな困っているわけよね」

少女という生き物は常に清々しい。少女は少女の時代を生きている人間そのものである。
他の全ての人間も本来は、女である前に、母である前に、男である前に、父である前に、老人である前に、そして少年である前に『人間』であるはずなのに、前者の要素に引っ張られて人間界の蛇足のような存在になり果てているが、少女だけは中性であり、本当の人間なのだ。

だから少女は可愛らしいし、美しいし、むしろカッコイイのである。

「どれ見せてみなよ」
少女はJKが運んできた大きな袋の中を覗き込む。
「気絶してちゃサイズが解らないわよ……」
「そんなこと言われても、私もこのペニスがどうして急に気絶したかなんか解らないっす」
JKはJKであるもののメイドでもあった。メイドは非常に性欲の強い生き物だ。メイドは使用人のふりをして主人に近づき其れを喰らう怪の一種である。主に市街地に生息している。

「厭だ厭だ、私は買い付けに来てるのであって、子守にきてるんじゃないのよ、しかも急に気絶するなんて病気持ちとかじゃないでしょうね」
幼女は手をひらひらさせながらJKに言う。JKはそんな嫌味を聞く前から目を輝かせてパンツを脱ぎはじめていた。

ガサゴソと外がうるさいので、彼もやっと目を覚ます。其処にはさっきのJKと見たことのない少女がいた。少女、つまりドイツ語で言うところの『Mädchen(メートヒェン)』は中性名詞であり、男性名詞でも女性名詞でもない未分化な存在が居たのである。

「ほら、せっかく私も脱いだんですから、そこのあなたも脱いでください!」
JKはいつの間にか素っ裸に成っていた。JKの体は、まるで子供の体に乳房と熟れた女性器を無理やり外付けしたような不格好さで、彼が気分を害してしまうのも当然だ。

そもそもSEXというのは子作りである。子を安全に産むには安定した骨盤が必要だ。それが揃うのはだいたい二十歳過ぎの個体からである。

「女子高生は女の形をしているのに、少女の匂いがするからえらく矛盾を孕んでいて(しかも、中にはホントに孕んでいる個体もいるという!)僕はどうしても好きになれないんだよ!」
「非道い事を言うっすね、せっかくここまで運んできたっていうのに……」
しかしJKは気分を害した様子もない、別に健気なわけではなく、彼女にとって相手の気持などどうでもいいことだ。妖怪が人間を喰らう時にわざわざ感情移入することなどあり得ない。この世界は、人間賛歌に傾倒しすぎた童話の中では無いのだから。

「ははは、面白いことを言うペニスだね。確かにJKは好きな人は好きだろうけど、本来繁殖用としては不確実な生き物よね。しかし、このJK実はメイドなのよ。知ってる? 『Mädchenメートヒェン』には『少女』の他にも『メイド』という意味があるの。ドイツ語はかくも興味深い言語よね」

古来西洋ではメイドは犯してはいけない存在つまり『女』ではない。少女も同じように『女』ではないから犯さざる存在である。両者は誠に中性的であり本質を同じくするが、緑茶が東から西へ海を渡っているうちに紅茶へと発酵したように、その逆の航路を渡ったメイドも東の果てに来るころには発酵食品と変化してしまっていたのだ。

「つまり、愛液は発酵食品という訳っすよ。これを膣素酸化物と呼ぶんすよ」
JKは自分の膣をまさぐり愛液を指に採ると、その指を牛乳の入ったバケツに浸した。成るほど膣素酸化物は乳酸発酵しているから、そうやってヨーグルトを作るつもりなのだ。ヒト由来の乳酸菌を使ったヨーグルトとはこういう仕掛けのことなのか。

「結構高く売れるんっすよ、私、こう見えても商売の才能があるんす」
「勝手に話を進めないでよ、私だって暇じゃないのよ」
少女はプリプリと怒り出す。少女はフリーランスの少女である。フリーランスには時給がない、だから、ただ生命活動しているだけでは給料は発生しないのだ。

「ペニスを早く起てなさいよ」

JKはテレビのリモコンをいじってポルノチャンネルに合わせた。このチャンネルでは24時間常にアダルト番組が放映されている。丁度その時刻にはメイドと主人の禁断のSEX画像が流されていた.
「楽しそうっすね」
たぶん、メイドの方はAV女優だろうが、割と楽しそうにまぐ合っているので、好感の持てる映像である。

彼のペニスが勃起し始めた。JKはすかさずペニスを扱き、一番硬くなったところで定規を持ち出しサイズを測る。
「なかなかのサイズね」
少女は目盛りだけ一瞥した。
「じゃあ頂きます!」
JKもといメイドがペニスで遊び始めたので少女はため息をつく、早く終わらせないと処置の時間がなくなって、本日の競売に間に合わないとJKを脅すと、ピストンも早まり、間もなくペニスは萎んでいった。

この世界では『会社』につながれていない人間は老若男女分け隔てなく『社会』には居ない者として扱われる。居ない者たちは『社会』から『会社』から居ない者という立場を強いられながらも生き続けなければならない。だからとても忙しいのだ。

JKが彼をトラックに詰め込み、少女がハンドルを握る。居ない者のが運転する車は幽霊の運転する車だ。幽霊船のガイコツ船長に船舶免許を持っているかと追い回す海上警備員が居ないように、幽霊トラックを追い回すパトカーもまた存在しない。
20分ほどで目的地に辿り着く、大きなビルだ。其処には処置室が併設してあり少女が自らメスを取って彼の脳を弄くった。これにより彼は任意のタイミングで外部からのリモコン操作で勃起するような存在に成った。

処置を終えた彼はペニスオークションの会場に並べられる。其処には彼と同じ境遇のペニスたちが並べられ、天井に向けてペニスを起立させている。沢山の『会社』もとい『社会』に属する女たちがガラス越しに品定めし、競売というゲームに明け暮れる。彼女らの支払う金によって、少女は暮らしているのだ。別に法律に触れることでもない。居ない者の捜索願は出されることはないのだから。其処には罪も罰も、始まりも終わりも無い。

 ※

少女は『週間経済批評』という名前だけ豪勢な雑誌を購読している。特に何の役にも立たないが(厚さ的にも枕に使えるレベルでもないし、重量も漬物石に使えるほどでもない、ましてや安い紙で刷られているせいでトイレットペーパー代わりにさえならない)背表紙が綺麗なので本棚に並べると応接室の本棚に箔がつく。こういう何気ない気遣いがフリーランスには大切なのだし、たぶん読者の99パーセントが、この雑誌をそういうふうに利用している。その証拠に、この雑誌の外観を見かけることは多々あるのに、中身について論じられることは殆ど無い。

しかし中身を全く読まないのももったいない気がして毎週、目を通すくらいはしてやっている。少女は割と良心的な人間なのだ。

今週も『チンコは何処へ消えた?~絶倫父さん、ED父さん~』というベストセラーの宣伝ばかりで退屈な紙面だ。そもそも株をやっても精力が上がることは無いだろうに……しかし、この『社会』は株をやってかどうかは別として、経済的に豊かな男性ほど、女を囲ったり、買ったりする『社会』であるのも事実なので、あながち間違いとは言いきれない。
しかし、それにしても、こんな本、一体全体誰が買うのだろうか? 男性が年々減っている世の中で(少女もその片棒を担いでいる一人ではあるのだが……)安っぽいマッチョイズムを掲げてこの先やっていけるのだろうか?

内容がつまらなすぎるのと、薄すぎるのが重なって、いつも通り早々に雑誌の最後のページに来てしまう。しかし今日はどういうことか、いつもはある「経済的料理」のコーナーがない。あのコーナーはこの名前負けした雑誌にしては驚くぐらいの良いコーナーで、毎回、十円玉をどうやれば上手に料理に生かせるかについて論じているのだ。
特に先々週の記事は秀逸で、電気釜で白米を炊く際に、十円玉を3枚入れるだけで上手に炊けるという裏ワザには感銘を受けたし、今朝の飯もそうやって炊いたものだ。

さて、これは問題だ。こうなってしまっては、この雑誌には本当に背表紙以外の価値が無くなってしまう。いや、背表紙がこの雑誌の価値の99パーセントなのだから別に大した支障ではないし、このコーナーが無くなれば、もう、わざわざ中身を見てやる必要もなくなり、逆にせいせいもするものなのだが、やはり1%だとしても価値を不当に減らされることはどうにも癪でならない。

「確か、フリーのライターがこのコーナーを書いてたのよね」
雑誌社に電話で問い合わせるとライターの名前は『ペニ島』という男性とのことで、先週から行方不明だという。雑誌社としても読者調査で唯一読者に読まれているらしいコーナーの筆者が居なくなり困っている、探してもらえないだろうか? などと言われたが少女は「ざまあ~」と心の中で思いながら「それはお気の毒で」と適当に受けこたえる。

「まあ、いいんですけどね、どうせ、私どもは内輪で盛り上がってるだけの雑誌ですから、広告収入さえあれば、他はどうでもいいんです、でも、ほら、十円玉の新しい使い方だけは気になるでしょ? でも会社としては捜索願とか出してめんどくさくなるのが嫌なんで、たぶんもう、このコーナーは復活しないんでしょうね~」
「そうですね、そうかもしれませんね……それでは失礼します」

少女は電話を切った。あの『会社』人からはもはや何の情報も得ることはできないだろう。誰にでも解ることしか話さないようにプログラムされているのだ。それが世の中的に揶揄されるようなことであっても、誰にでも解ることであるなら口に出す、そういうところは割と経済アナリストの巣窟の職員としてお高くとまっているようにも読めるが、少し血が通った人間性のみたいなものも感じて少し嬉しくなる。

たぶんライターはひとさらいに遭ったのだろう。良くあることだ。悲しいことではあるが、普通の事でもある。世界中では今日もこの時間も、交通事故で人が大勢死んでいる。悲しいけれど、普通の事だ。

 ※

メイドは夜行性の怪であるから、JKをする場合であっても夜学である。夜学なので別に制服(もとい性的な印象を受ける服装でもあるらしいから性服といってもいかもしれない)を着なくてもいいが、これを着ているとSEXアピール的に有効で、罠を貼りやすいのだ。

メイドは怪であるので別に学校に通う必要は無いが、彼女は其処らを歩いている普通の人間よりも(幸か不幸かは別として)よほど知恵者であったため、学校に通って勉強することにしたのだ。
だから今までも小学校(児童のラブホ)、中学校(生徒のラブホ)、そして高校(もはや普通にラブホ)と通っている。流石に小、中は夜学がないので眠くて大変だったが、高校は夜学があるのでさらに勉強に集中できる。高校を卒業したら大学(さらに大人のラブホ)に進むつもりだ。そのためにも学費が必要であり、そのためにも狩りが欠かせない。厳しいようだがこれがサバンナの掟なのである。

魚や鳥は網で捕まえることが出来るが人間も同じだ。網で捕まえられる。要は網タイツのJKは珍しいのだ。臭いおじさんが寄ってくるので、適当にSEXして放心状態にさせたところで、中枢神経に何らかの打撃を加えて捕獲する。

おじさんが狩りの対象として良いところは、やはりその臭いである。その臭さのお陰で、例え『会社』に属する個体であったとしても、周りの人間が皆、異臭の原因物質が消えて良かったと思うので、捜索願を出さないのだ。
逆に下手に若いのを捕まえてしまうと、小さい子供などがいて、困った奥さんが捜索願を出しかねないから危険だ。その点、やはりおじさんならば、仮に小さい子供がいてもちゃんと生命保険をかけているので、どんな奥さんでも生命保険の方を取ってくれるから、やはり捜索願は出されずに済む。おじさんはとても優良な獲物なのだ。

しかし、この前のペニスは幸運だった。急に眼の前で倒れたので財布や身分証明書を漁るに、どうやら会社員ではなかったので、久しぶりに若いペニスを納品することが出来た。
あれは、かなりいい値で競り落とされたから彼女のところにもそこそこの金額が舞い込んだのだ、これで大学の入学金くらいは賄える。まさに童謡の『まちぼうけ』のような展開だ。ころりころげた木の根っこ♪

JKもといメイドは知恵者であったが単純な生き物でもあった。人間ではないのだから当たり前かもしれない。彼女はやはり童謡のように、二匹目のウサギを求めて駅の階段前で待ちぼうけしていた。

「待ちぼうけ、待ちぼうけ~ある日せっせと、マラ稼ぎ、そこにペニスがとんで出て~ころりころげた 男の根っこ♪」

しかし、当然の如く同じように勝手に転ぶ馬鹿はいない。

「やっぱり此処にいた、メイドは馬鹿だねぇ~」
少女はマラ稼ぎ出来ずにマラぼうけしているJKに声をかけた。JKは驚いて思わず濡れてしまう。
「工夫していないわけでは無いっすよ。今日はメイド服ですし」
今日のJKはJKの性服ではなく、ピンクのヒラヒラしたメイド服を着用していた。元来メイド服は白黒で装飾も華美で無いもの……つまりメイドの性欲を抑える拘束具であったはずだが、いつの間にかメイドの小陰唇の具現化のように成った始末。

「なんてダサいピンクの衣装よ、そんなんじゃ今は誰も罠にかからないわよ」
「これだからお子様は、つまらない雑誌の読みすぎっすよ。アナリストがアナルの話しているような教育上、悪いものは読むべきじゃ無いっす。確かにピンクのビラビラは巷では、ダサピンクと揶揄されど、一度ファッションという一連の文化、風俗、レッテル、ある種の誇大広告を脱いでしまえばですね……つまるところ裸体になれば、やはり、乳首やマンコの色はピンクでビラビラがもてはやされるんですよ。女子道とはかくも複雑な道なのですよ!」

メイドという人外が下手に知恵を持つとロクなことがない、人間の言われたくないことをズケズケ言ってくる。
「それにしても何の用っすか?獲物もつかまって無いのに、仲買人さんに渡せるものは無いっすよ」
「いいや、ちょっと気に成って、この前の若いペニスの持ち物とか残ってる?」
「いつも通りに金目の物は売って、身元がバレそうなものは全部焼却処分してますよ、でもそれ以外の物は家にあるかもしれません……」

彼女ら二人は、JKの自宅兼、ヨーグルト工場に向かい、何とか彼のカバンを見つけ出すと、中にはくしゃくしゃに丸められた原稿用紙が数枚入っいた。

「没原稿、やっぱり彼だったのね、確かに十円玉でキュウリのイボを削るのっていうのはクールじゃないアイデア」
「キュウリをマンコに突っ込んで放置すると乳酸菌で漬物に成るっすよ」

せっかく外出した序に、少女はコンビニに寄った。今週号の『週間経済批評』にもやはり彼のコーナーは無い。そして(たぶん偶然に違いないが)雑誌の背表紙のデザインが変えられていた。不景気だからデザイナーを安いものに変えたのか、出版社の気まぐれか、重役が発作を起こしたのか、はたまた色々な理由が重なったのか……

彼女はそのまま雑誌をレジには持っては行かず、チョコレートキャンディーを一袋買って外に出る。チョコレートキャンディーはなかなか美味しいくせに、『週間経済批評』より100円も安かった。砂糖菓子は少女の体に取り込まれ、彼女の一部となり、彼女が少女から女に成ってしまうための栄養に成る。彼女は永遠には少女ではいられない。

同じように、『週間経済批評』より安い砂糖菓子のような彼は、今はどこかで立派なディルドとして働いている。それはこの『社会』に組み込まれたという事だ。この『社会』が劣化する栄養と成るために。

結果的に悲しい出来事かもしれないが、それよりも、この物語で特筆すべきことは以下の二点である。

・JKもといメイドは大学の入学金を得ることが出来た。
・少女は、これで晴れて『週間経済批評』の購読を止める決心がついた。

これは小さな一歩かもしれないが、人類にとって大きな一歩だ。


第二章『現代の怪』


嘗て王様が居た。王宮では沢山のメイドが働いているから、勝手に妊娠する個体も当然現れる。流石はメイド、恐ろしい生き物だ。

同じように現代に於いても、例えば軒先にタヌキが時々やってくるので気まぐれに餌をやっていたら懐かれたみたいな話のように、軒先にメイドがやってくることがある。
別に天気が良ければ誰もが無視できる案件だ。居ない者を居ない者として扱う事は『社会』人としての処世術である。

問題は雨の日だ。雪の日でもいい。少し風が強すぎる日でももちろん構わない。妖怪は、そういうジメジメした日には、存在感とその輪郭をグロテスクなまでに露わにする。

雨の日に、たとえば人間型の生き物(この際、人間型でなくても構わない、狸でも猫でも、小鳥でも構わない)が軒先で濡れていたら、多少小汚なかったとしても、玄関先くらいには上げて雨宿りさせるのがある種の義務である。

「ありがとうございます」

メイドとは妖怪である。主人に近づき主人を喰らう存在。
 玄関に佇むメイドの髪は艶っぽく、メイド服も濡れて乳や尻の輪郭を際立させる。
 
 「誰かが見ていたら困るだろう、例えば僕が君を見捨てて雨の中に放置したら……誰にも見られていなければいいんだよ、誰にも見られていないのなら、放置する事こそ道徳さ。でも、見られているかもしれない環境では一転して放置しないのが道徳なんだ」

 現代が支配した『社会』では、道徳はシステムであり感情ではない。心の問題ではなく数学の問題であると、彼はメイドに釘を刺す。しかし妖怪は『社会』に暮らす人間の気持ちをくむほどお人好しな訳は無い、彼は道徳というシステムの被害者である。

「まあ、仕方ない、このまま体を冷やしたままには出来ないだろうに」
彼はメイドを浴室に連れていく、メイドはニヤリとほくそ笑む。



「妖怪が恋人? 妖怪が妻って、じゃあ産まれてくる赤ちゃんも妖怪って事でしょうに」

妖怪に絡めとられた弟を彼女は激しく叱責する。これだから一人暮らしなどさせるべきでは無かったのだ、一族から妖怪が排出される事を良く思う人間は現代『社会』には居ない。
メイドの腹部は丸々としていて直ぐにでも爆発しそうである。
「確かにメイドはメイドだが、何も、そんなふうな言い方しなくても……」
「妖怪は妖怪でしょうに」
「うううううう、産まれるですぅ~」

産気づくメイド、間もなくメイドの幼生が空気中に吐き出される。メイドにとっては主人の子供であるから仕える対象であるお嬢様。主人にとっては使用人の子供、彼の姉にとっては、メイドという妖怪の幼生。



彼の姉は高校の養護教諭である。

「保健室がこうも繁盛してしまっては、ラブホテルは商売あがったりだって言ってるんだよ」
業者がやってきて、学生達が排出、排泄した汚物を片付けてゆく。
「雇い主に向かってそういう口の利き方は無いでしょう」
「雇い主って……私が雇われているのは、あんたの雇い主だよ……そりゃあんたは此処に居るだけで、給料も、保険も、年金も天から降ってくるからいいけどね、私は外部契約なもんでそんなものは無い代わりに、あんたの部下って訳でもないんだ。良い勤め先だったラブホが潰されて、仕方なく此処に来てるんだよ、図に乗るなよ小役人」
 「ははは、あんたの事なんて知ったこっちゃない、小役人でも大役人でも役人は役人なんだよ、役人以外は役人の言う事を聞けばいいの、国民っていうのは役人以外の人間の事を言うんだからね。さあ、無駄口叩いている暇があったらさっさとその臭いゴムを片付けてちょうだいよ」

養護教諭が機嫌が悪いのはどうでもいいことだ、この前愚痴っていた愚弟の不貞のせいだろう、馬鹿馬鹿しい。そういう馬鹿馬鹿しい問題で、馬鹿馬鹿しく騒げる立場というのは、実は非常に世界から優遇された状態であるという事を、あの小役人は理解していないのである。

「あのぉ、ベット開いてます?」
高校生はSEXの事しか考えていない、SEXの事しか考えない年頃というか、そういう生き物なのだ。
だから、少しでも暇が出来るとこうやって保健室にやってくる。学校側も衛生的でない場所で、性の知識が未だ薄弱な学生が、衛生的でないSEXをするくらいであれば、保健室で彼らのSEXを管理した方がいいという理由から、保健室は何時しかSEXする場所に変わってしまった。

「3番ベットを使いなさい、ちゃんとコレつけるんだよ、付けるところまで私は見守らなきゃならないんだから、そういうふうに命令されているんだからね」
養護教諭は学生達に衛生的なSEXをさせなければならない、徹底させなければならない。それなのに彼女は弟は衛生的なSEXをしなかった。

業者としては他人事である。完全下校の『蛍の光』が彼女にとっても解放のメロディーである。蛍の光はいつだってそういう旋律なのだ。
業者は日払いの給金を受け取りに学校の事務室を寄ってから外に出る。
裏校門の横の茂みで既に数組の学生が避妊具なしで、相手もとっかえひっかえでいたしている。いくら日中だけ管理したところで、どうしようもないのだ。
乱交場と化した茂みは周囲よりも草の成長が著しい、精液や愛液、その他汚物を学生が撒き散らすので、土壌が富栄養化してしまっているのだ。

「狼でも出ればいいのに……」

清掃業者は近所にあったラブホテルが潰れてしまったため、電車を使って遠くの高校まで働きに来ている。今日も電車は込んでいる、身動きが取れない、ここではどんな立場の人間も、等しく奴隷の感傷で一致できる。

その2週間後の事だった。学生達の間で厄介な性病が蔓延した。学校側としては彼らのSEXを管理している以上、こういう事があっては責任問題だ。

責任は何だかんだで外部委託であった清掃業者に着せられ、業者の交代という形で学校側は保護者を納得させたが、困ったことに年に一度は、やはりこういう事態が起こる。そして、そのたびに清掃業者は入れ替えられ、そのたびに新しい清掃業者にあの養護教諭は、弟のメイドの新しい赤ん坊の愚痴を言う。

驚くべき事に、それほどまでに、メイドは多産なのだ。


第三章『植民地主義』


彼、又は彼女かもしれない、それは4本足で歩いている。その方が解りやすく動物的だから……例えば二本足で歩いていては、この後の説明が面倒になる。

古代の人類のそれより前の人類の祖先の枝分かれ前くらいの動物を仮定して頂きたい。それは例えば四本足で歩いている。

お腹が空けば彼らは動き出し獲物を探すか、草を食む。もしくは空腹に成る前に、空腹になるような事態に陥らないように、事前に食事をする。まさに喰う為に生きている。

「これは殆どの生き物に同じように言える事です。つまり、生物は胃袋によって支配されている」
「つまり、数ある臓器の中で、政権を握っているのが胃袋という事ですね。一見心臓が文字通り中心に見えますが、心臓は一番の働き者なだけで、全くもって権力欲の無い牧歌的な性格という訳です」
「そうそう、仕事が出来るからといって、必ずしもマネージャーに成れるわけじゃない、有能だからといって政治家に成る訳ではないように」
「しかし、どんな動物でも常に胃袋が政権を握っているわけではありません、例えば繁殖期であれば、栄養補給よりも生殖行為が優先される事さえあります。この時は、一時的に臓器内世界の政権が胃袋から生殖器に移ったと考えた方がいいでしょう、つまり政権交代……では人類の場合はどうでしょう? 人類の臓器界の宰相とは、それは脳と考えても良いのではないでしょうか!」

教授と助教授の掛け合いは、いつも息が合っている、それは当然で、彼等は毎日SEXに励んでいる。

しかし、『社会』人枠の学生であるである彼には、まるでそうは思えなかった、其処まで理性的、もしくは感情豊かな人類、つまり脳が政権を握っている人類は言われるほど多いだろうかと、彼の知る人間たちの殆どは、生きるために喰うような人間ばかりだ、何かに対して意見を求めてもろくに答えられないどころか、テレビで言っていたような事を反芻する壊れた録音装置の玩具みないなものも居る。

少なくとも彼が以前勤めていた『会社』にはそういう人間しか居なかった。

しかし、そういう人間にも、もしかしたら家族の前でならば、豊かな感情を表す事もあれば、ある種の教育を適切に受ければ理知的に成れる事もあるのだろうとも彼は考えた。そういう考えだったからこそ、彼は『会社』を休職し、人生二度目の学生生活を送っているのだ。

「『社会』人枠といっても、この『社会』では、『会社』が『社会』であるから、『会社』を休職している以上、君が『社会』人枠であるのは些か語弊があるといっても過言ではないね」
不意に隣から声をかけてきたのは、どこかの『会社』の御曹司という肩書を持った学生である。彼はその肩書によって学生でありながら、半ば『会社』つまり『社会』に認められた(この場合存在を認められた)生き物である。

「僕が考えるに『会社』は人の臓器政権を『胃腸』にする装置なんじゃないかと思っているのさ、だってそうでしょ、難しい事、正しい事、法律道理の事を労働者に求められちゃ困るもの、胃腸にはテキストは読めないでしょ、胃腸は喰う為だけに頑張るから、とても御しやすいんだ。御曹司ってのはそういうのを理解してないといけない『理解』する行為ってのは『脳』の仕事さ、だから脳が政権を握らなきゃならない、経営者は『会社』という装置を維持しながらも、自らはそこにに足を突っ込んではならないんだなぁ」
「人は家畜じゃないだろうに」
「人は家畜じゃないから……放っておいたら人間のままだからこそ、人を家畜にする装置が必要なんですよ」
「確かに」
御曹司は酷い人間だが、それでも人間である。同胞だ。御曹司からみれば、『会社』から半ばドロップした彼は愚かな人間であるが、それでも人間である、つまり同胞だ、我々は同胞である。それは彼ら二人の間に、そこまで熱くは無いものの友情を芽生えさせるには十分な力である。



あれから十年が経った。『会社』を休職して大学に進んだ彼は、そのまま『会社』に変える事はなく、自分で小さいながらも『会社』じみたものを経営している。

「久しぶりですね」
数年ぶりに学友であった御曹司に彼は出会った。
見るからに二十歳そこそこの頃の強さが抜け落ちて、普通の『社会』人といった具合で、さびしい限りである。
 「本当に久しぶり、最近はどうだい、ちゃんと脳が政権を取っているかい?」
「ええ、まあ、いくらか年を取って疲れた感じに見えるかもしれませんが、その辺はちゃんと解ってますよ」
「年を取ったって……俺の前で言われてもね」
御曹司は彼より一回りほど若いのだ。

「しかし良くない事ですよ、最近は皆、例え『会社』人であってもテキストを読むように成りました」
彼は応接テーブルの上に置かれた電子端末の縁を撫でながら、ため息をつくように言った。
「でも、テキストを読むのと、テキストに読まれるのとでは違うだろう」
「違いませんよ、僕らの『テキストを読む』という行為が忘れ去られて、彼らの『テキストに読まれる』という行為がいつの間にか、世界の『テキストを読む』という行為にすり替わって……つまり政権交代してしまったんですよ」
「政権交代ねぇ、そういえば教授も助教授もどうしてるかな? 教授は年だったから、もう、助教授の相手は厳しいだろうに」
「教授は退官されて、助教授が教授に成りましたよ、で新しい助教授とSEXしてます」
「なるほど、まあ、話を戻すと、つまり胃袋でテキストを読んでいるってことか」
「いいえ違います、胃袋は文字を読めませんよ、脳が政権を取ったんです、ただ方法が僕らと違って、僕らから見れば稚拙な方法、つまり外部から炊きつけられてのクーデター的な、ラディカルで無い方法で政権交代が行われたんでしょう。しかし、そういう方法の方が、今では世界的に正しい方法なんです。大学でテキストの読み方を教わる方法よりも、端末に書かれた散文を元にテキストを読んだふりするのが正しい方法に成っただけ、それは別に構いません、許せないのは、既に世界がそちらの方が正しいと、多数派であると認めているのに、彼らはまだ足りないと、こちらの方が正しいと、事あるごとにワイドショーと経済新聞を使って言いふらす事です、少数民族に、外から入植してきた多数派の入植民が我が物顔するみたいに」
「まあ、君の気持も解るが……そうだとしてもだよ、我々も同化されれば良いだけだ、だってそうだろ? 脳が政権を取っている者同士は同胞じゃないか」
嘗て彼と御曹司の友情もそれに支えられていた。

「理解することと、納得することと、諦めることは、きっと別の話なんですよ」
「良い事だ、その言い分じゃ、君もまだ若いって事なのだから」
「そう言ってもらえると嬉しいです」
彼らはその日、酔いつぶれるまで話をした。
彼らの間には今でも友情がある。よく人は、友人は御しやすいように自分より少し下の人間を選べと言うが、それは全くの間違いだ。何故なら友人は自分と同じ志、気高さ、力が無ければ芽生えないのだから。


第四章『生殖民地主義』


脳の天下、脳の政権が半ばクーデターとして行われた。しかも駄目押しするように、それをいけしゃーしゃーと、その方法こそ正当であると喧伝した結果、人類は晴れて、快活な脳の時代を迎える(無論、知識階級はとうの昔に脳の時代を迎えているが、ついに『社会』人もとい『会社』人たるホモサピエンスの多数派さえもが脳の時代を迎えたのだ!)。
人々はこれによって悠久の平和を手に入れるはずであったが、不当な方法で得た政権は長続きしないのが世の常である。

そして幾つかの混乱の末、人類は辿り着いた。今、我々の目の前にある、この世界樹こそ、この人類を人類たらしめる装置である。

世界樹……地球上に何本も建つ人工の巨木である。本当の人類は、テキストを読む事が出来た本当の人類は、何時しか少数派のレッテルを張られ、本当の人類の座を奪われ奔走するが、奇しくも妖怪の手を借りて、新しい姿へと変貌する。

臓器界の脳の政権(しかもいかがわしい方法で得た偽りの政権)の時代が続く以上、もはや人類に未来は無い。その政権の本質を支えるものは、残念ながらその政権の出自で在るのだから。よって、人類の臓器の政権は正しい方法で新しいものに移譲されなければならなかったのだ。

『世界樹』と呼ばれる装置は有機的な組成で在りながら地球上に存在する元素を効率よく栄養分に変換し樹液として放出する。それを吸い生きるのが新たな人類たるアブラムシである。名前は太古から生息する昆虫の油虫に由縁するが、外見は太った人間の男性である。アブラムシは世界樹から分泌される養分を吸い生きている。殆ど動く事もない。

これは非常に安定したシステムであるが維持の為にはある程度の労働力が必要である。そこで目を付けられたのがメイドという妖怪だ。殆ど動かないアブラムシの世話をメイド達に見させ、代わりにメイド達にアブラムシの生殖器(ペニス)を使用させて、精液を栄養分として与えるというシステムを考案したのだ。

そもそもメイド達は家事万能、SEX好きであり多産、おまけに膣からも栄養を吸収できたから、それでシステムは完成した。アブラムシはただただ樹液を摂取し精液を生産しさえすればいいのだ。アブラムシは精液の生産効率が悪くなると自死して木から転げ落ち、土に還り世界樹の栄養に成る。アブラムシは精液を生産する事を、何よりも優先するようにプログラムされている。

人類の臓器の主権、政権は『生殖器』が担う事に成ったのだ。

そう、テキストを奪われた『脳』の政権はあっけなく終わった。その後、真に『脳』を愛していた人々は、白痴な人々に奪われ、破戒されてしまった『脳』というフィールド以外の世界、フロンティア目指し、この世界樹を製作した。最初はごく一部の知識層だけが世界樹との共生を行い、最初期こそ反発、疑問も投げかけられたが、人類において真に脳を使う人間はもはや世界樹に自ら取りこまれた後だったから、大して内容のある、このシステムに対する反論や代替案も発表されず、あまり時間をかけずに、それ以外の大多数の人間も、何の疑問も無く平和的に世界樹に自ら好んで取りこまれた。

今もメイドはメイドとアブラムシを産む。アブラムシは世界樹に張り付き成体になと精液という栄養を生み出す。メイドは世界樹とアブラムシからなる装置の維持を担当する。人類は初めて平和を謳歌している。

人類は始めてポストコロニアルの時代を迎えた。

人類は成し遂げたのだ。

そして僕はこの結末に落胆しているし、きっと君たちも何らかの不満を抱えずにはいられないだろう。


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